マイクロラーニング
隙間時間に少しずつビデオや記事で学べるマイクロラーニング。クイズに答えてポイントとコインを獲得すれば理解も深まります。
立位での脊柱側屈と肋骨の側方シフトのアセスメント
2013年11月9日&10日の2日間,SYNERGYで開催したITTピラティスの創始者ジーン・サリヴァンのアセスメントWSから、立位での脊柱側屈と肋骨の側方シフト、そして脊柱前屈の動きを用いた、側弯のタイプ(機能的/構造的)判断という3つのアセスメント方法をお届けします。
痛みと予測 パート1/4
この記事は独立したものであり、すでにこのブログにおいて紹介されている“脳・動作・痛み”シリーズの第3部でもあります。 このブログは、下記のおおざっぱな“脳のモデル”に従っています: パターン 知覚 予測 このモデルにおいて、脳は結果を予測するために、フィードバックによって引き起こされ、比較された蓄積された神経パターンを使用します。私達が予測をするために必要なのは、蓄積された記憶であり、いかなる特定のフィードバックも必要としていないかもしれませんが。 この記事は、結果および/または動作を作り出すための、脳の予測に焦点を合わせています。私達の見解では、動作と痛みは、このカテゴリーに分類されます。 この記事では、動作よりも痛みに焦点を当てています。痛みは、確実にコーキネティックの専門分野ではありませんが、間違いなく興味のある分野です。 脳の予測が有益なものではない際に、問題は起きるかもしれません。これは、危険、もしくは脅威の予測が、実際の体組織への脅威に比例していないときで、特に以前の外傷の既往や痛み後にありえます。体組織が改善した状態でさえ、損傷の可能性を制限するために、痛みは予測の結果としておこる可能性があります。 これは、決して疼痛経験への包括的な見解ではなく、考察にすぎません。痛みは、責めるべき単一の要因だけでなく、多くの要因によって引き起こされ、調整されています。 痛み 痛みは、非常に扱いにくい題材です。私達は、痛みに関して何をすべきか、そして、一般的に普及している事実が重要な問題を提供しているということよりも、痛み自身に関して、より多くのことを知っています。 しばしば、問題を再概念化することは、一部の正しい知識を持った人達が痛みの理解への道を照らす際、私達のアプローチを変える手助けをしています。彼らは、以前の(現在でも議論されているかもしれない)主要な痛みのプロセスの理解であるデカルト的な見方に新しい視点を与えました。その先駆的な人物のひとりは、ロナルド・メルザックであり、彼の独創性に富んだ“神経基質”モデルです。全文(英語)をみるには*ここ*をクリックしてください。 メルザック&カツ(2013年)による“痛み”からの最新モデル 痛みの現代的な理解のカギは、身体からのインプットではなく、脳からの出力のようです。そして、これが体組織へのダメージと経験した痛みの総量の関係性、もしくは侵害受容器活動と経験した痛みの関係性を分離し始めています。潜在的に痛い、もしくは痛くない刺激の脳内での中央処理が、個人が経験する痛みのレベルのカギになります。後で詳しく説明するように、実際、痛みを作り出すために、私達は身体からのいかなる刺激も全く必要ないかもしれません。 ロリマー・モーズリーは、2007年にフィジカルセラピーレヴューに発表した“近代的な痛みの科学に従った痛みの再概念化”で雄弁に詳しく、下記のように説明しています: 実証研究が、痛みと侵害受容器活動間、もしくは痛みと体組織の状態間でも同一構造の関係性を示さないことは明らかである。むしろ、実証研究は、多くの要因によって調整される変わりやすい関係性を示している。 痛みと病理学 受傷後に、痛みが数か月、数年にわたって持続するという事実も、痛みのレベルは体組織の状態に相関するという現在の見解を混乱させます。これはまた、患者の現在の痛みの状態に関連付ける病理学の継続的な模索にも疑問を投げかけるのです。 ボーデンとその他(1990年)が発表した、“無症状被験者における腰椎の磁気共鳴映像(MRI)検査にみられる異常”では、痛みの訴えの無い人達を検査しています。彼らは、3分の1の被験者が、‘かなりの異常’を示すことを発見しました。これは、60歳以上では57%にものぼります。さらに驚くことに、20~39歳の被験者の35%に、腰椎椎間板の突出、もしくは変性がみられました。 バーンスタイン(2001年)は、“無症状被験者における腰痛を予測するための腰椎の磁気共鳴映像の有用性:7年間の追跡調査” において、無症状被験者の腰痛の予兆となるものとしてMRIを注視しました。 そして、彼らは下記の研究結果を発表しています: 磁気共鳴映像による研究結果は、腰痛の発症や持続期間を予測ではなかった。腰痛の最長期間をもつ被験者達が、1989年の最初の画像において、重大な解剖学的異常を有していたわけではない。 グレーブスとその他(2012年)による最近の研究、‘急性腰痛における早期の画像診断:ワシントン州の労働者における1年間の健康と障害状態’において下記を報告しています: 腰痛を有する労働者において、早期のMRIは良好な健康状態とは関連しておらず、障害の可能性と持続期間に関連がある。 そして、1年後の労働障害給付金を受給する可能性が2倍になっています。 腰椎ヘルニアへの外科的処置は、症例の60%においてのみ、痛みと坐骨神経症状を完全に除去することができます。腰部にサポートをもたらす脊椎固定術では、滅多に症状の改善はみられません(メルザック、全文-Pain 2013)。 モーズリーによって説明されたように、これは痛みと体組織の状態の様々な関係性を強調しています。体組織の状態との早期の相互関係は、良好な結果につながりませんでした。実際、病理学との関連性が、痛みの持続期間を増大させたのでしょうか?さらにこれは、体組織の状態と痛みの予測可能な関連性を拡大し、患者の状況の認識評価もまた、状況の要因となるのです。 私達は、様々な慢性痛の原因として、あるいは予測を試みるために、人間の状態の中に多くの生体力学的、もしくは解剖学的な‘不具合’や‘異常’を見つけ出そうとしてきましたが、これらは質の高い研究によって確実に裏付けられてはおらず、事実として提起された見解がいまだ飛び交っているという、捕らえどころのない状況であることが証明されています。
痛みと予測 パート2/4
出力としての痛み 痛みと体組織の状態の間の隙間を広げ、そして、脳の出力としての痛みの見解をより深く評価するために、私達は、身体からのいかなるインプットをも伴わない痛みを考察しなければなりません。絶好の例は、‘幻肢’痛です。 ‘幻肢’とは、切断手術を受けた患者が、すでに切断されている四肢にまだ痛みを感じるものです。これは珍しい体験ではありません。ニコラセンとジェンソン(2001年)は、最近の複数の研究が幻肢痛の出現は60-80%に上ると報告したと、“幻肢痛”の中で発表しています。 メルザックとカツは、彼らの論文“痛み”(2013年)において、幻肢について下記のように述べています: 痛みを含む、私達が通常身体から感じる経験としてのあらゆる性質は、身体からのインプットが無い場合にも、また感じられる;このことから、私達は、経験のパターンの起源は、脳内の神経回路網にあると結論を出すかもしれない;刺激は、パターンを引き起こすかもしれないが、刺激を作り出すことはない。 マカビーとその他(2006年)は、“健康な被験者における感覚運動不調和のシミュレーション”において、下記を考察しています: 認識できる末梢の因果的病理の存在なく生じる、もしくは外傷のサイズに不相応と思われる状態 例えば、 反復運動損傷、Ⅰ型複合性局所疼痛症候群(CRPS)線維筋痛症、限局性手部筋失調症、幻肢痛 彼らは、運動感覚中枢神経処理を介して、健康な被験者の痛みを誘発しようとし、下記のことを発見しました: 27人の被験者(66%)は、末梢性の侵害のインプットが無いにもかかわらず、プロトコル中のいくつかの段階で、少なくとも1回の異常な感覚症状を報告しました。. 上記の2例は、 痛みは、損傷組織、病状、もしくは構造的異常にのみ起因するという、現在の覇権に疑問を投げかけます。事実、これらの例において、私達はいかなる侵害刺激無しに、時としていかなる脳への刺激、もしくはインプット無しに痛みを経験することを見ているのです。 メルザックとカツは、彼らの論文‘痛み’の中で、下記のように書き加えています: 要するに、もし私達が、身体は感覚メッセージを、受動的に受信する脳に送信する、と仮定するのであれば、幻肢はミステリーとなりえます。私達が、脳が身体にとっての体験を作り出すことを認識した時点で、幻肢は包括的なものになります。感覚入力は、ただ単に経験を調整しているだけにすぎません。感覚入力が、直接的に経験を引き起こすことは無いのです。 予測としての痛み ついに私達は、この記事の真のテーマにたどり着きました。末梢からのインプットを必要としない脳の‘予測’としての痛みの紹介です。これは、なぜ組織治癒後、もしくは病理が存在しない場合ても痛みが長期にわたって持続するのか、そして、なぜある人達は、MRIの結果に、痛みに関連するものが発見されているにもかかわらず、少しの痛みしか、もしくはまったく痛みを経験しないのかという理由であるのかもしれません。 ノーマン・ドイジの著書“脳は奇跡を起こす”において、彼は、神経可塑性と幻肢痛の理解に尽力したインド人神経科学者ラマチャンドランと対談をしています。 ラマチャンドランは、慢性痛患者と彼の信条“運動指令は、痛みの感覚系と繋がっている”、あるいは、痛みの関連性は、ある特定の動作のための運動プログラム(神経信号/タグ)とつながっているかもしれないということを論じています。これは、受傷後に起こる可能性があり、損傷組織を保護するために、運動指令は変化します。痛み、もしくは損傷に対しての運動変化は、ホッジスの論文‘疼痛化での異なる動作’(2010年)において論じられています。 私達が、防御するために、筋肉を動かさないようにして損傷の悪化を防ごうとする際に、意識的に動かないことを自分自身に思い出させるのであれば、私達は、疲弊し、足を取られ、自分自身を傷つけ、痛みを引き起こしてしまうでしょう。(ラマチャンドラン) ~脳は奇跡を起こす”ノーマン・ドイジ ペンギン、2007年、p193. これは、脳機能構築内で、神経可塑的変化を引き起こし、“防御の病的形成”を作り出します。 彼はさらに続けて下記のように述べます: ラマチャンドランは以下のように考えました:運動中枢が、動くための命令の発令と動作の遂行をする間に、脳は、動作が起こる前に痛みを引き起こすことによって、先行して間違った動作を回避する(ラマチャンドラン) ~脳は奇跡を起こす”ノーマン・ドイジ ペンギン、2007年、p193. 出力としての痛みを理解することが、この観点には不可欠です。動作の‘防御’は、著者の見解として、運動出力にも痛みの出力にもなり得ます。身体は、可動域もしくは、動作の方向と疼痛反応を通して、動作を制限する選択をすることができます。 組織が回復区をすると、これが問題になります。 ラマチャンドランは、これらの慢性痛の患者において、痛みの指令は、痛みの感覚系と繋がっているため、四肢は治癒しているにもかかわらず、脳が腕を動かすために運動指令を送信する際に、痛みを引き起こすと信じるようになった。 脳は、いまだに身体の部位を問題としてとらえています。さらにもう一歩踏み込めば、影響される身体部位動かすことを考えること、もしくはそう論じることでも、私達は痛みを感じ始めたり、不快感を抱き始めるかもしれません。それは、脳の複数の領域における、痛みのある部位に関連を持つ多くの神経パターンへの痛みの配線によって決まるでしょう。 “現代的な痛みの科学における痛みの再概念化”でのロリマー・モーズリーのキーポイントの一つは、下記のとおりです: IV. その痛みは、体組織が危機に瀕しているという潜在的知覚の意識的関連要因として概念化される。 ここでは、私達は、体組織の状態の知覚、もしくは危機にさらされてる体組織の知覚と比較して、重要ではない体組織の状態に関する合意があります。 この知覚は、その体組織に起きた損傷や痛みのような既往、もしくは体組織を危険にさらしていると脳が感じるかもしれない動作に基づいている可能性があります。これは、以前の動作/痛みの体験、もしくは脳からの痛みの出力に影響を及ぼす、未来の体験の予測の可能性の世界を開拓します。病理の原因、もしくは関連としての痛みを体験した部位の組織損傷は、痛みの体験からさらにかけ離れていきます。時間が経つにつれ、いなかる相互関係もより減少していきます(モーズリー2007年)。しかし、体験した痛みは、体験している人にとっては、いまだにとても現実的なものであることを、私達は覚えておかなければなりません。
ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(FMS)の使用はエビデンスに支持されているか? パート1
(パート2はこちらへ) ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(FMS)は最近人気のある話題であり、多くの議論を引き起こしている。これは、これらの議論をより建設的にするための論文の総括である。 概要 ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(FMS)とは何か? ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(FMS)とは、標準化された複合的な動きから成る7つの個々のテストにより構成された、スポーツ参加前のスクリーニング手段である。各テストは試験者により0から3に評価され、総合得点が与えられる。これには、ディープスクワット、ハードルステップ、インラインランジ、ショルダーモビリティ、アクティブストレートレッグレイズ、トランクスタビリティプッシュアップ、ロータリースタビリティが含まれる。痛みがある場合は0、対象者が動作を行うことが不可能な場合は1と評価される。また、対象者が動作を行うことは可能であるが、代償動作を伴う場合は2と評価され、対象者がその動作を正しく行うことができた場合は3と評価される。各動作に対するそれぞれの得点は、21満点中の最終的な得点として集計され、この総合得点が外傷のリスクを予測すると考えられている。このテストを研究した研究者たちは、得点が14点以下の個人は、14点を越える個人に比較して、外傷のリスクがより高いと示唆している。 標準的なFMSの得点は何点か? 健康ではあるが、トレーニングを行っていない人たちにおける標準的なFMSの得点は、14.14 ± 2.85 点から to 15.7 ± 1.9 点の範囲である。トレーニングを行っていない人たちのほとんどが、代償パターンを示していることが考えられ、また外傷のリスクの増加とパフォーマンスの低下が予測できると思われている14点以下という区切りの得点を多少上回っている、ということを示唆している。 FMSは信頼性の高いテストか? テストが有効であるためには、それが信頼性の高いものである必要がある。信頼性とは、テストが多少異なった時間に同人物によって(評価者内)、もしくは、同時に違う人たちにより(評価者間)繰り返されることができ、同じ結果を生み出すことができるかどうかということを示す。少なくとも14の研究が、FMSの評価者間の信頼性、または評価者内の信頼性を調査している。14の研究の内、13の研究がFMS総合得点の評価者間の信頼性についての報告をしており、8つの研究がFMS総合得点の評価者内の信頼性に対しての報告をしている。FMS総合得点の評価者間の信頼性について調査した13の研究の内1つの研究のみが、信頼性が中等度以下であったことを報告している。この唯一の研究では、相関関係を分析する為に他とは異なった統計的方法を用いていたこと、また、かなり多種多様の背景をもつ評価者を採用していたということは注目に値する。評価者内の信頼性について報告をしている8つの研究の内、1つの研究が学生評価者によるテストが低い信頼性を示したということを発見したが、7つの研究では少なくとも中等度の信頼性が報告されている。これは、FMSはおそらくほとんどの人に対し、フィールドテストとして許容できる程度の信頼性があるということを示唆している。 FMSは有効なテストか? テストが有益であるためには、それが有効である必要がある。有効性とは、テストが測定するべきものだけを実際に測定しているのかどうかということを表す。FMSの場合、テストの目的は、スポーツで同じ動作を行う際の代償パターンを特定することである。いくつかの研究が、FMSが有効かどうか、またスポーツの動きの中で行われる際の代償パターンのみを測定しているのかどうかを評価した。1つの研究は、テスト基準に関する知識がテストの結果に著しい影響を及ぼすと報告しており、これはテストのパフォーマンスがアスリートからの影響を受ける可能性があるということを示唆しているかもしれない。他の研究は、発育段階もまたテストの結果に影響を及ぼすと報告しており、テストが若いアスリートには適していないということを示唆している可能性がある。その他の研究では、様々なテストの結果間での相関関係が乏しいと報告されており、外傷の危険性を予測するために各テストの得点を合計して総合得点を出すことに対する有効性が疑問であるということを意味している。最後に、ある研究では、高速で高い負荷をかけて行われた類似するエクササイズでは、異なる動作特徴が現れたと報告されており、FMSを行う際にアスリートによって示される代償パターンが、スポーツの動きの中で示される代償パターンとは異なるかもしれないということを示唆している。結果として、これらの研究はFMSの有効性を疑問視している。
ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(FMS)の使用はエビデンスに支持されているか? パート2
(パート1はこちらへ) ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(FMS)は最近人気のある話題であり、多くの議論を引き起こしている。これは、これらの議論をより建設的にするための論文の総括である。 概要(続き) FMSの得点は外傷のリスクを予測するか? FMSの基本原理は、有害である代償パターンの保有率を測定するというものである。少なくとも18の研究が、FMSの得点が外傷率を予測することができるのかどうかを評価している。これらの18の研究のうち11の研究が、FMSの得点が14点を超える人と比較し、14点以下の個人における外傷に対する相対的な危険性を評価した。これらの11の研究のうち4つの研究が、FMSの得点は外傷の危険性を予測することはできないということを発見した。残りの7つの研究では、14点以下の個人の外傷に対する相対的な危険性は1.65から11.67倍であり、これは、FMSが個人の外傷の危険性の大小を、区別することができるかもしれないということを示唆している。 FMSの得点はアスレチックパフォーマンスを予測するか? FMSの背景にある概念のひとつは、非効率であると考えられる代償パターンの発生率を測定することであり、ゆえにパフォーマンスの低下度合いを予測する、というものである。アスレチックパフォーマンスとFMSの総合得点の相関関係を評価した8つの試験において、2つのみがアスレチックパフォーマンスとFMSの得点の相関関係を発見した。この2つの試験両方において、カウンタームーブメントジャンプのパフォーマンスとFMSの総合得点の間に、ある程度の相関関係が見いだされた。これは、FMSが有害となる代償パターンを発見することができないか、もしくは見つけられた代償パターンがパフォーマンスへ悪影響を及ぼさないかのどちらかであるということを示唆している。 エクササイズトレーニングはFMSの得点を向上させるか? もしFMSが有益であるのならば、基準テストの結果を基に行動を起こし、後のテストにおける得点を向上させることが大切である。少なくとも9つの研究が様々な集団において、FMSの得点を向上させるための異なるエクササイズプログラムの能力について評価している。9つの研究のうち8つが、ある種のエクササイズがFMSの得点を向上させることができたと報告している。しかしながら、コレクティブエクササイズやファンクショナルエクササイズと従来のレジスタンストレーニングを比較した2つの研究において、研究者たちは両方のケースで、2つの方法の間にFMSの得点の向上に対し著しい違いはなかったことを発見している。 ボディ・マス・インデックス(BMI)はFMSの得点に影響を及ぼすか? いくつかの研究がFMSの得点に対するBMIの影響について報告している。FMSの得点に対するBMI指数の影響についての報告をした全ての研究は、より高いBMI指数がより低いFMSの得点と関連していることを発見している。 ある研究でもまた、FMSの得点が身体活動に積極的に関係していると発見されていることから、BMIとFMS得点の間の逆相関関係は、過体重/肥満の人が身体活動をあまり行わないという傾向によりもたらされている可能性がある。 FMSの得点と他のテスト結果との関連性はあるか? FMSは、肩関節の内旋や外旋の可動域の計測とは関連性が無いようである。しかし、スター・エクスカーション・バランステスト(SEBT)の結果と、FMSにおいても乏しいパフォーマンスが予測される、片脚垂直跳びでの高い非対称性とは関連性をもつようである。 FMSについて他に何がわかっているか? 他にも様々な研究がFMSに関して行われている。研究者たちは単にFMSを行うことは自己知覚近位安定性の低下に繋がると観察した。研究者たちはまた、FMSの得点が悪かった(14点未満)人と良かった(14点超え)人の間で、腰部にかかる負荷に著しい差異は無かったと記述している。 キーポイントは何か? FMSは、ある程度外傷の危険性が高いアスリートを識別する予測能力のある、比較的信頼性の高いフィールドテストであるようだが、アスレチックパフォーマンスとの関連性は無いようである。加えて、多くのエクササイズ、トレーニング、そして身体活動はFMSの得点を向上させることができる可能性が高いようである。しかしながら、テスト基準に関する知識と発達段階がテストの結果に影響を及ぼすようであること、テスト動作が高速で行われ負荷がかけられた場合、同様に行われることができなくなること、総合得点を構成する個々の要素に相関性がないことから、総合得点による外傷リスクの予測は、適切ではなく、テストの有効性に関しては深刻な懸念がある。
オールダー ワイザー ワンダフル パート1/2(ビデオ)
高齢者の運動指導を行う際に、安全性を重視するあまり、参加者の皆さんが実際に必要としている機能=ファンクションとは、かけ離れた運動を指導してしまうことはないでしょうか? ファンクショナルなアセスメントとは?ファンクショナルなトレーニングとは?本当に何を意味しているのか?25年以上前から、ファンクショナルとは?を問いかけ続けるギャリーからのメッセージの第一弾です。
オールダー ワイザー ワンダフル パート2/2(ビデオ)
フットボールの選手と、高齢者の方が同じアクションでエクササイズを行うことはできるのでしょうか?答えはイエスです。ただ、各個人の状況に合わせて、その同じアクションをどのようにトゥィーク(微調整)するのか、これが応用機能科学の一番重要なポイントになってくるのでしょう。ファンクションの父と呼ばれるギャリー・グレイによるビデオのパート2を御覧ください。
痛みと予測 パート3/4
記憶-予測モデル 脳がどのように機能するかについての一つの理論は、記憶-予測モデルを介しています。 脳が多くの変数に直面し、それらすべてを処理しきれない時、脳は、以前の事象や学習体験に基づいた予測を使用します。ベイズ確率理論は、どのようにこのモデルが機能しえるかに対しての洞察を与えるかもしれません。 仮説の可能性を評価するために、ベイズ蓋然論者達は、新たな関連データを踏まえて更新された、いくつかの事前確率を明確化します。Bayesian probablility. Wikipedia. この一例は、あなたがラジオで知っている歌を聴き、それに合わせて歌っているということかもしれません。あなたは、次に来る歌詞を予測するために、その歌に関する以前の記憶を利用します。私達はクイズ番組の中で、ある単語に欠けている文字を入れる際や、良く知られている熟語を完成させるために単語を入れる際にも、同じことを目にします。このように、記憶-予測モデルを説明するために利用可能な例は、数限りないのです。 また、私達はボタンを押すことに関連した報酬、もしくは制裁に反応するネズミにおいて、基準面におけるこの神経処理を目にします。 この方法で、過去の事象と体組織、もしくは体組織の状態への脅威や危険の現在の予測との間に繋がりが見え始めてきます。特に、痛みのような記憶しやすい事象に関して。 予測は、過去に何が起きているかによって影響されます。特定の行動や出力の蓄積と呼び出しにおいての直接水準とインプットの処理とそれに続く出力全体の両方が、遺伝子要因と習得した要因によって形成される、私達のひとつひとつの‘神経基質’を通して、指令を出します。 私達が実際の状態を問わず、体組織の状態を、損傷した、もしくは運動作用によってさらなる損傷になりそうである未来の体組織の状態の予測として知覚するとすれば、、痛みの出力は、運動作用や伴う痛みを防ぐために利用されたり、運動計画の段階で動作を制限、または修正する効率的な方法として利用されたりするのかもしれません。 ここでの問題は、(存在している、もしくは関連性のある)痛みのある動作や病理ではないのかもしれません。それは、脳による知覚と、それに続くさらなる損傷への予測です。学習した反応を変更することは、より困難なことです。実際、ラマチャンドランは、これを‘学習された痛み’と呼んでいます。痛みは習慣であり、私達皆が知っているように、習慣を変えることは困難でありえるのです。 痛みの‘記憶’ メルザックは、彼の論文 “幻肢の痛みの‘記憶’:総括と臨床観察”の中で、‘身体の記憶’について考察しています。四肢は、もはや存在しなくとも、切断前の痛みは、‘幻肢’において持続します。 メルザックは、下記のように述べています。 その結果によると、十分な強度と持続期間の体性感覚入力は、中枢神経構造内に持続的変化を生じさせる 損傷は、下記のようにの変化に富んでいて、包括的です: 皮膚病変、深部組織損傷、骨関節痛、痛みを伴う切断前の姿勢 痛みは、末梢部には存在しません、存在しえないのです。その代わりに、四肢に関連している特定の表象において、神経可塑的に脳を変化させます。ここでの疑問は、完全な求心路遮断ほど極端ではない例の場合でも、これは発生するのかということです。 ディヴィッド・バトラーは、“敏感な神経系”(NOIグループ出版、2000年)の中で次のように述べています: 過度の使用、不使用、軽傷、関連した認知もまた、表現を修正させる。切断は、ただ単に劇的な一例である。 ここで私達は、未来の疼痛経験に影響を与えている過去の痛みの体験についてみていきます。完全な求心路遮断ほど極端ではない例において、私達は神経可塑的に脳を再編成している痛みの‘記憶’を規則的に目撃するのでしょうか?その結果、未来の知覚や、それに続く体組織への脅威の予測の修正を目撃するのでしょうか?脳の出力は、動作の小さな修正から、衰弱性の慢性痛にまで至るかもしれません。 “順”モデル 予測モデルもまた、運動制御理論において、運動制御の順モデルという仮説として取り上げられています。 フライシャーは、彼の論文、“小脳、大脳基底核、海馬における予測の神経相関”の中で、‘順モデル’を考察しています。 順モデルは、神経系に身体の状態が、近い未来にどのようになっているかの予測を提供する。 彼は、下記のように書き加えています: 最適な運動制御理論は、どのような運動指令の効果が、現在の状態や運動指令に与えられているのかという順計算の存在を必要としている。 そして、 その代わりに、順モデルは、フィードバック制御のみの使用よりも速い動作の生成を可能にさせる。 私達の体部位再現の表現が蓄積され、恒常的な情報の流れが起こる小脳と大脳皮質のつながりを理解することが重要です。私達は、要求された課題を達成するために、運動野からの意図的動作と、運動指令を修正するために情報を使用している末梢からの報告された動作を比較しました。 ここで再び、フィードバックではなく、フィードフォワード・モデルの関わりをみます。何が起こるかを予測できる必要性は、過去の体験のみに基づくことが可能です。痛みと運動調節において、生体力学の力に基づくモデル、もしくは痛みのデカルト的見解のように、フィードバック・モデルが支配しています。
痛みと予測 パート4/4
生体力学の関わり 私達が自問自答しなければならない疑問は、構造的生体力学モデルの関わりについてです。構造的‘異常’は、運動制御の‘順’モデルを考慮に入れる際、私達が見込む予測可能な方法で動作を修正することはできないかもしれません。私達が、痛みを動作と体組織への実際の影響として考えるのではなく、痛みを予測や運動指令と関連していると考えるならば、それは、もしかしたら私達に、生体力学的/デカルト的フィードバックの視点を考え直すことを余儀なくさせるに違いありません。疑問は、“動作は痛みを引き起こしているのか、それとも痛みが動作を修正しているのか”ということです。体組織の潜在的知覚の変化は、施術者によって異常、もしくは損害を与えると見なされる特定の動作よりもむしろ重要なのかもしれません。 表現がより良ければ、予測もよりより良いのでしょうか? 私達の神経構造と神経構造の組織は、私達が記憶-予測モデルを考察に含める際に、いかに未来の事象を予測するかに関して重要だと思われます。 バトラー、モーズリー、フロアー、ラマチャンドランやその他の研究者によって、私達の体部位再現は、慢性痛の状態に関連しているとされています。 モーズリーとフロアーは、“慢性痛の治療における皮質表現へのターゲティング:総括”(2012年)の中で、下記のように説明しています: 科学的根拠の大部分は、慢性痛は、身体に関連する皮質表現領域の障害に関連していることを明らかにしている。そして、この障害が慢性痛の一因となっている、もしくは保持しているという科学的根拠がある。 私達は、未来レベルの体組織への脅威や危険を予測するために、これらの表現を利用しているかもしれません。そして、重要な変化が、慢性痛を患っている人たちの疼痛部位において、確認されています。痛みが表現を修正しているのでしょうか、それとも修正された表現が痛みの一因となっているのでしょうか?これは、答えにくい疑問ですが、両方のシナリオについて考察していかなければなりません。 皮質表現へのターゲティングは、モーズリーとフロアーによって提案され、NOIグループの段階的運動イメージプログラムによって実施されています。www.gradedmotorimagery.com フォーラとその他は、“筋骨格系疼痛障害のためのリハビリテーションの取り組みにおける運動学習と神経可塑性の役割”(2010年)の中で、下記のように述べています: 新しい運動技能の獲得において、皮質性神経可塑的変化は、しばしば運動能力の向上のような、有利と考えられる性質を伴う 彼らは、下記のように書き加えています: 皮質性神経可塑的変化の及ぶ範囲を最大化しようとする、リハビリテーションの取り組みは、リハビリテーションの成功のための最大の可能性を提供する立場にある。 モーズリーとフロアーは、下記のことも書き加えています: 感覚・運動戦略を利用している感覚・認知表現をターゲットにする治療は、明らかな機能的かつ対症的効果を示している。 悪循環を断ち切る 私達の見解では、持続性の疼痛反応を変える手助けをするのは、予測を断ち切ることかもしれません。そのための特定の‘方法’は、このブログの焦点ではありませんが。これには、痛みに関連した、潜在的に染み込んでいる出力を断ち切るために、行動、感情、運動戦略に気づくことを含んでいるかもしれません。 時として、いくつかのケースに於いては、ただ単に、動く前に意識的にリラックスさせることのように単純なことかもしれません。事例的成功は、この方法の利用を介して得られています。運動作用への単純な連続的な変化を通して、痛みを修正することが可能だということは、患者にある程度の内部制御部位を還元できるかもしれませんし、脅威の予測の修正と同様に、患者の情動状態に影響を及ぼすかもしれません。 疼痛教育と生物-心理-社会モデルは、予測の変化、もしくは痛みと脅威の知覚にも関連があるのかもしれません。患者が何を経験しているかと患者の身体への実際の損傷との間の関係を再評価を助けます。 状況に応じたわずかな変化は、結び付いている痛みの構成要素を持つ特定の運動指令に影響を与えるかもしれません。これは、身体の姿勢、位置もしくは情動状態かもしれません。 痛い動作にできるだけ近い痛くない動作が、私達に、痛みの関連性を増強することなく、動作の確かさを築き、維持することを可能にしているのかもしれません。四肢位置のわずかな変化は、疼痛反応を修正し、動作と痛みに関連した防御機構を縮小するかもしれません。痛みの出力の程度に応じて、罹患部位の痛くない/脅威でない動作へ後戻りさせる必要があるかもしれません。 結論 痛みを体組織の状態、病理、痛覚、生体力学から分離し始めることが重要です。痛みは、身体からのいかなるインプット無しに発生する、脳の出力です。しかし、これは、これらの構成要素のどれもが痛みを引き起こすことができないということを意味しているのではありませんが、現在、多くの人達が信じているように、痛みは、確実に、それらの構成要素だけにとどまりません。 脳の機能構築を変化させるかもしれない学習体験に基づく痛みの予測は、運動時痛のフィードフォワード・モデルを作り出すかもしれません。これもまた、私達の個々の‘神経基質’に作用し、痛みの体験を増幅するストレスや疾病のような、多くの要因によって調整されています。 私達の皮質表現へのターゲティングは、動作制限、もしくは痛みの出力の増大を介して、体組織への保護する知覚された脅威を含まない予測において、(できれば、より良く)異なる変化と長く持続する変化を作ることを可能にしているのかもしれません。これは、視覚系とイメージ、運動技能、与えられた痛みの状況のわずかな修正を通して、行われるかもしれません。
立位での骨盤と肋骨の動きのアセスメント パート1/2
2013年11月9日&10日の2日間、SYNERGYで開催したITTピラティスの創始者ジーン・サリヴァンのアセスメントWSから、立位での骨盤の前額面でのスウェイ、矢状面での回旋、肋骨のシフトといった動きの左右差をチェックするアセスメントの模様をお伝えします。
立位での骨盤と肋骨の動きのアセスメント パート2/2
2013年11月9日&10日の2日間、SYNERGYで開催したITTピラティスの創始者ジーン・サリヴァンのアセスメントWSから、立位での骨盤の前額面でのシフトによる可動域や、片膝を曲げる動きを使って、骨盤、股関節、脊柱周囲の軟部組織のバランスをチェックするアセスメントの模様をお伝えします。
プログラムに関する最近の変化
ここ2年間程の間で、マイク・ボイルのプログラムに関しておきた一番大きな変化とは?スタティックストレッチをメインの運動の前に行うというのは、良くない。という意見が浸透してからしばらく経過していますが、マイクのMBSCでは、ここ2年程前から、ウォームアップを行う前にストレッチを行っています。その理由とは?