バックスクワットのバイオメカニクス パート3

我々のスクワットについての最後の記事では、スクワットの深さ、足のポジション、そしてバーの保持位置の違いが、下肢の筋活動にどう影響するかに注目していきます。スクワットや、その他のエクササイズ中にどの筋が活動しているかを見るために、研究者らは「筋電図法」またはEMGと呼ばれる機器を使用します。EMGは、骨格筋の電気活動の評価と記録を行います。スクワットは非常に多様性に富むエクササイズで、パフォーマンスおよびリハビリの両方の目的のために、特定の筋群をターゲットにできます。スクワットのバリエーションが、どのように筋の動員パターンに影響するかという知識を持つことは、FTIのインストラクターが、リハビリと筋力増加のためのプログラムの両方において、特定の筋群をターゲットにするためにスクワットのやり方を変更する役に立ちます。 ふくらはぎの筋群 スクワット中のふくらはぎの筋群の活動と筋力を調査したEMGの研究では、スクワット中にふくらはぎの筋群に中程度の筋活動が見られました。ふくらはぎの筋肉の活動(腓腹筋)は、下降中に膝が徐々に屈曲するにつれ増加し、上昇中に膝が伸展するにつれ減少していきます(Escamilla 1998)。ふくらはぎ(腓腹筋)の活動は、下降中の足関節の背屈の度合いをエキセントリックにコントロールするために、60度から90度の膝関節屈曲位で最大になるようです(Escamilla 1998)。最後に、ウォールスライドスクワット中に、足を股関節の真下に位置することで、ふくらはぎの筋群の活動が増加することが明らかにされています(Blanpied 1999)。 大腿四頭筋 スクワットでは、大腿四頭筋、特に大腿直筋よりも有意に大きな活動を示す広筋群が主動筋となっています。大腿四頭筋の活動のピークは、スクワットの80度から90度で起こり、これよりも大きな膝の屈曲でも増加しません(Escamilla 2001)。このデータは、ハーフスクワット(膝屈曲角度が90度まで)において四頭筋の活動が最大となることを示しています。90度の膝屈曲角度を超えて下降し、パラレルスクワットのポジションに近くなることで、四頭筋の発達を高めることはないかもしれません(Escamilla 2001)。最後に、肩甲骨のサポートを伴うウォールスクワットと比較したとき、大腿四頭筋の活動が増加するとしています(Blanpied 1999)。 内側広筋斜走線維(VMO) 内側広筋斜走線維は、内側広筋の最も遠位部に位置する部分です。この部分に特化したトレーニングは、膝蓋骨のポジションを維持するという重要な役割を持ち、膝への障害を制限します。VMOの弱さ、タイミング及び機能不全は、膝蓋骨の軌道の乱れを引き起こし、その結果、周囲の構造に損傷を与え、それにより膝への力が増加し、多くの場合傷害につながります(Lefebvre 2006)。さらに、外側広筋(VL)とVMOの不均衡は、膝蓋大腿痛のリスクを上昇させます(Karst & Willit 1995)。このデータは、膝への受傷後の早期のVMOのトレーニングの重要さを示しています。スクワット中のVMOの活動に関する研究において、パーシャルスクワットにおける大腿部の活動の30.88%をVMOが担っており、パラレルとフルスクワットにおいてはそれぞれ18.85%と20.23%でしかないと報告しています(Caterisano et al. 2002)。その他の研究(Anderson et al. 1998)では、スクワット中に足幅を広げることよるVLの筋活動に対するVMOの筋活動を調査しています(VMO:VLの割合)。研究者らは、足幅を広げることによってVMOの活動は増加しないとしています。しかしながら、VMOは90度までの範囲でより活発であり、膝の屈曲角度が大きくなるにつれVLに対するVMOの活動量が増加するとあります。まとめると、これらの発見は、膝屈曲角度が90度を超えないスクワットが、VMOに対して最適な深さであることを示唆しています。 ハムストリングス 二関節筋(股関節と膝関節にまたがっている)という形態から、ハムストリングスは下降中にエキセントリックに活動し、上昇中はコンセントリックに活動します。しかし、下降中に膝が屈曲するにつれ股関節も屈曲するため、ハムストリングスの長さはスクワット中維持され、その結果ハムストリングスの長さの変化は最小限になります。これにより長さ−張力の関係性は、力の発揮に傾きます(Escamilla 2001)。ある研究では、ハムストリングの活動がスクワットの上昇段階で最大になり、拳上重量に比例していると示唆しています(Wilk et al. 1996)。これとは対照的に、自体重のスクワットにおいては、ハムストリングの活動は最小限で、12RMの負荷が用いられるまでは著しくなく、これは膝の安定性を向上させるためだと思われます。スクワット中のハムストリングの活動は、膝関節屈曲角度の50度から70度で最大になります。最後に、研究者らは(Blanpied 1999)、ハックスクワットマシーンを用いてのスクワット及び、肩甲骨のサポートを伴い足のポジションを重心より前にして行うウォールスクワットにおいて、ハムストリングの活動が有意に増加することを発見しました。結論として、これらの結果はハックスクワット、肩甲骨のサポートを伴うウォールスクワット及び、ディープとハーフの両方のスクワットが、効果的にハムストリングの活動を刺激することを示しています。 殿筋の活動 スクワットの深さが大殿筋に与える影響を検証した研究では、大殿筋の活動量が深さと共に増加していました(Caterisano et al. 2002)。しかしながら、これらの結果は異なる負荷(1RMの%)によって変化すると思われます。他の研究者らは、大殿筋の動員がスクワットのスタンスを広げるにつれ増加することを発見しました。最後に、AspeとSwinton(2014)は、バックスクワットとオーバーヘッドスクワットの分析を行い、バックスクワットにおいてオーバーヘッドスクワットよりもより大きな大殿筋の活動を報告しています。興味深いことに、フロント、フル、またはパーシャルのスクワットを比較したとき、フルスクワットの場合でも大殿筋の活動は増加せず、これはフロント、フル、またはパーシャルのどのスクワットでも大殿筋の発達には同等に効果的だということを示唆しています(Contreras et al. 2016)。 結論として、これらの研究の結果は、スクワットが下肢筋群の筋力向上に大変効果的なエクササイズだということを示唆しています。また、スクワット中の筋活動は、足のポジション、深さ、サポートの種類または負荷によって影響を受けます。異なる負荷が処方されていたことを含む、これらの研究の制限にも関わらず、スクワット中の筋活動については、次のように普遍化することができます: ふくらはぎの筋活動を最大にするためには、スクワットの深さを大腿部が床と平行になるように処方し、足を股関節の真下に位置するようにします。 スクワット中に大腿四頭筋をターゲットにするためには、大腿部がパラレルになるようなスクワットを処方し、リハビリ目的ではサポート用のパッドを股関節の高さにおいたウォールスクワットを処方します。 VMOをターゲットにするとき、大腿がパラレルになるスクワットを処方します。 ハムストリングスをターゲットにするとき、ハムストリングスすべてを同様に刺激するために、ディープスクワットまたは大腿部がパラレルになるスクワットを最低でも12RMの負荷で処方します。自体重のスクワットを処方する場合、肩甲骨にサポートパッドをおいたウォールスクワット処方し、足を重心よりも前方に位置します。 殿筋群をターゲットにするときは、パラレルまたはフルスクワットの処方は、同等に効果的です。バリエーションとして、フル可動域のフロントスクワットを殿筋群の活動を刺激するために用いることができます。 筋活動の違いにもかかわらず、フルスクワットが、一般的な筋力向上及び運動能力の発達のために効果的なスクワットのバリエーションであるといえるでしょう。 参照 Escamilla, R. F. (2001). Knee biomechanics of the dynamic squat exercise. Medicine & Science in Sports & Exercise, 33(1), 127-141. Caterisano, A., Moss, R. E., Pellinger, T. K., Woodruff, K., Lewis, V. C., Booth, W., & Khadra, T. (2002). The effect of back squat depth on the EMG activity of 4 superficial hip and thigh muscles. The Journal of Strength & Conditioning Research, 16(3), 428-432. Lefebvre, R; Leroux, A; Poumarat, G; Galtier, B; Guillot, M; Vanneuville, G; Boucher, JP (2006). “Vastus medialis: anatomical and functional considerations and implications based upon human and cadaveric studies”. Journal of Manipulative and Physiological Therapeutics. 29 (2): 139–144. Anderson, R., Courtney, C., & Carmeli, E. (1998). EMG analysis of the vastus medialis/vastus lateralis muscles utilizing the unloaded narrow-and wide-stance squats. Journal of Sport Rehabilitation, 7(4), 236-247. Wretenberg, P. E. R., Feng, Y. I., & Arborelius, U. P. (1996). High-and low-bar squatting techniques during weight-training. Medicine and science in sports and exercise, 28(2), 218-224. Dionisio, V. C., Almeida, G. L., Duarte, M., & Hirata, R. P. (2008). Kinematic, kinetic and EMG patterns during downward squatting. Journal of Electromyography and Kinesiology, 18(1), 134-143. Delmore, R. J., Laudner, K. G., & Torry, M. R. (2014). Adductor longus activation during common hip exercises. Journal of sport rehabilitation, 23(2), 79-87. Paul, A. S., Aspe, R., & Keogh, J. (2012). Electromyography comparison OF the back squat and overhead squat. In ISBS-Conference Proceedings Archive (Vol. 1, No. 1). Reiman, M. P., Bolgla, L. A., & Loudon, J. K. (2012). A literature review of studies evaluating gluteus maximus and gluteus medius activation during rehabilitation exercises. Physiotherapy theory and practice, 28(4), 257-268. Contreras, B., Vigotsky, A. D., Schoenfeld, B. J., Beardsley, C., & Cronin, J. (2016). A comparison of gluteus maximus, biceps femoris, and vastus lateralis electromyography amplitude in the parallel, full, and front squat variations in resistance-trained females. Journal of applied biomechanics, 32(1), 16-22. Caterisano A, Moss RF, Pellinger TK, et al. The effect of back squat depth on the EMG activity of 4 superficial hip and thigh muscles. J Strength Cond Res. 2002;16(3):428–432. Paoli A, Marcolin G, Petrone N. The effect of stance width on the electromyographical activity of eight superficial thigh muscles during back squat with different bar loads. J Strength Cond Res. 2009;23(1):246–250.] Aspe RR, Swinton PA. Electromyography and kinetic comparison of the back squat and overhead squat. J Strength Cond Res. 2014;28(10):2827–2836. Escamilla, R. F., Fleisig, G. S., Zheng, N., Barrentine, S. W., Wilk, K. E., & Andrews, J. R. (1998). Biomechanics of the knee during closed kinetic chain and open kinetic chain exercises. 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ファンクショナル・トレーニング・インスティチュート 3463字

スクワットの問題解決 パート1:運動学的キューイング

基礎的動作でありつつ、指導することが難しくなりがちなスクワット動作をより効率的に指導するために必要な、身体構造の連鎖を理解することの重要性と、効果的なキューイングの方法をジョシュ・ヘンキンがシェアするスクワットシリーズのパート1。

ジョシュ・ヘンキン 6:18

スクワットの問題解決 パート2:プレスアウトスクワット

負荷を加えることで、全身のテンションとカウンターバランスを利用し、自重で行うよりもより容易にスクワットの動作パターンを学ぶ方法とは?ジョシュ・ヘンキンのスクワットシリーズのパート2をご覧ください。

ジョシュ・ヘンキン 4:13

スクワットの問題解決 パート3:ゴブレットスクワット&ベアハグスクワット

ケトルベルを身体の前に引き寄せるようにして行うゴブレットスクワットの効用と、同じメリットを持ちつつ、さらなる負荷の増量を可能にするアルティメイトサンドバッグでのベアハグスクワットのポイントをご紹介します。

ジョシュ・ヘンキン 7:03

スクワットの問題解決 パート4:フロントスクワット

ジョシュ・ヘンキンによるスクワットの問題解決シリーズの最後のビデオでは、アルティメイトサンドバッグを使用したフロントホールドスクワットと左右非対称な重さのケトルベルを使用したフロントスクワットをご紹介します。何をするか、よりもなぜ、どのように行うのかを理解することが重要であるという基本概念を理解してください。

ジョシュ・ヘンキン 6:48

コーチング理念の開発の方法

スピードガイことリー・タフトが、若手のコーチ達に提案するのは、自分自身のコーチング理念を開発することの重要性を理解すること。様々な学びの積み重ねから、自分自身にとって正しいと感じることを集積することの大切さです。

リー・タフト 3:43

多種スポーツのバックグラウンドはアスリートの成功ための機会を改善するか?

すべてのチャンピオンシップゲームやメジャースポーツのドラフトの後には、多種スポーツのバックグラウンドのメリットを支持するデータが浮かび上がります。 高校における多種スポーツのアスリートが、二、三十年前のようには普及していない一方で、専門化に対するサンプリングの長所に関する声や逸話は増えています。 ジョン・スモルツやウェイン・グレツキーのような殿堂入りしているアスリートは、早期のスポーツ専門化への反対を主張するために大きなプラットフォームを使っています。有名な外科医であるジェームス・アンドリュース医師は、両親と子供たちに、一つのスポーツをプレーする危険性に対し警告し、啓発構想の後援さえもしています。 マスターズの勝者、そしてゴルフの次の大スターになる前、ジョーダン・スピースはポイントガードとしてプレーし、素晴らしいピッチャーでもありました。トム・ブレディは高校を出て、モントリオール・エクスポスにキャッチャーとしてドラフトされました。レブロンは、二年生にして州代表のワイドレシーバーの栄誉を得ました。サイズやスピード、爆発性、コーディネーション、そして運動感覚的気づきのような身体特性は、スポーツからスポーツに転移します。 多種スポーツアプローチの正当化は理にかなっている一方で、データは恐らくの維持が多いということを認めることは重要です。これらのアスリートたちは複数のスポーツをプレーしたから偉大になったのでしょうか?あるいは、彼らは素晴らしいアスリートだったから複数のスポーツをプレーしたのでしょうか?恐らく両方の要素が少しずつあるでしょう。考えてみてください。もしワイドレシーバーが、フットボールフィールドでディフェンシブライン脇をを走っていたら、陸上のコーチは恐らく彼を4x100mチームに入れようと興味を持つでしょう。バレーボール選手がネットの上でプレーできるサイズや運動神経は、バスケットボールコートで役に立つかもしれません。サッカーをプレーして発達した持久力は、クロスカントリーに持ち越されるでしょう。などなど…。恵まれたアスリートたちは早期に成功し、それがより多くの競技参加やリクルートメントを促進するのでしょう。 とはいえ、私たちは幅広いスポーツのバックグラウンドを持つことには、FMS理念に関連するメリットがあると信じます。 1) オーバーユースに関連する怪我 早期専門化に関わるすべての潜在的な落とし穴の中で、オーバーユース障害にさらされることが恐らく最も危険でしょう。1,500名の高校生を対象とした、ウィスコンシン州の広く公表された研究では、1種のスポーツに特化したアスリートは、シーズン中に複数のスポーツをプレーする人たちに比べて70%高く怪我に苦しむ傾向があることを発見しました。潜在的な怪我は、野球やゴルフのような回旋するスポーツでよりいっそう高くなります。しかしながら、研究の大部分は、アスリートが一年間にプレーした試合の数や、彼らがどのようにトレーニングをしているかを考慮していないことは言及されるべきでしょう。これらはとても大きな要素です。賢いトレーニングプログラムと正当な競技期間は、オーバーユース障害のリスク減少を成功させることができます。 2) 動作能力 ある動作パターン所有の前駆は、それらの動作パターンを探求することです。広くいろいろな活動に参加する子供たちは、1種のスポーツに特化した(あるいは、さらに悪いことにあまり動かない)子供たちと比べると、広くいろいろな動作パターンにさらされます。動作の多様性と動作能力の関係性は、幼い年齢でも見られます。2016年の研究では、新体操のような動作トレーニングが、平均年齢8歳の子供たちの安定性と物体制御能力を向上したことを発見しています。 加えて、可動性や安定性の制限は、スキルの習得を妨げるかもしれません。マイケル・シーバース博士はこう述べています: 「もし学ぶスキルに含まれる関節に構造的、そして/あるいは生理学的な欠損があるとすれば、モーターラーニングの過程は最大限に起こることができません。スキルの習得は、スキルの反復可能な象徴的な表現を体に覚えさせることではありません。それは、まず身体的な許容量を構築し、それからコーチングとスキルに基づいた認知学習の技術的適用が習得課程を手助けすることができるのです」 3) 運動許容量 垂直跳びを向上させたいですか?もっとジャンプしてみましょう。40ヤード走のタイムを縮めたいですか?研究は、スプリントのスピードを向上させる最良の方法は、スプリントを練習することだと示唆しています。ここでもまた、鶏が先か、卵が先かの謎のようですが、バスケットボール選手がよくジャンプできる理由の一つは、彼らが沢山ジャンプするからです。たとえあるアスリートが、競技としてのバスケットボールをプレーすることがなかったとしても、彼らはそこで培った爆発性からメリットを得ることができるでしょう。たとえそれが、まったく似ているように見えないスポーツであったとしても。例えば、グレッグ・ローズ博士とTPIは、垂直跳びがゴルフの潜在的なスイングスピードの運動徴候の一つであることを発見しました。プロゴルフの長距離打者達の何人かに共通する一つのことはなんでしょうか?彼らは皆バスケットボールのバックグラウンドを持っているのです。 結論として、若いアスリートたちに複数のスポーツをプレーするよう促すことは、成功や怪我の排除を保証しないかもしれませんが、子供たちに複数のスポーツをプレーするよう促すことは、動作の質を向上し、オーバーユースを制限し、運動能力を上げる可能性を持っているのです。

ファンクショナルムーブメントシステムズ 2390字

アルカリ性ダイエット:良いのか、悪いのか、その基本

最も新しいダイエットブームの一つは、体のpHレベルをアルカリ性に保つことのできる食品を食べることに焦点を当てた、アルカリ性ダイエットです。アルカリ性ダイエットは実は体重減少に焦点を当てているわけではなく、炎症や癌といった病気のリスクを下げることをより考慮しています。このダイエットの提唱者は、この食餌法は身体への適切な機能を促進し、より酸性に傾ける傾向がある一般的な西洋の食餌とは反対の食生活であると提言しています。 しかし、ここに真の問いかけがあります:実際に効果があるのでしょうか?その答えにあなたは驚くことになるかもしれません。 酸性あるいはアルカリ性? アルカリ性ダイエットについての考え方は、代謝された食品は酸性かアルカリ性のどちらかになり、この食餌法の支持者は80%をアルカリ形成食品に、20%を酸形成食品になるような割合の食事を行うというものです。アルカリ性ダイエットを行う人達は、酸形成食品は病気や疾病に繋がる代謝的アンバランスを産み出すので、身体にとって有益なものではないと信じています。 しかし、これは食品の副次的なpHレベルを調べているであって、食品自体を調べているのではありません。例えば、レモンはpH2(酸性)ですが、この食餌法では実はアルカリ性であると考えられています。レモンの分解方法のために、尿の解読に基本pHレベルを与えます。したがって、レモンのPRAL値もマイナスになるのです。PRALとは、潜在的腎臓酸負荷の略であり、酸性食品がどのように尿を生成しているかということを参照しています。 ほとんどの果物と野菜のPRAL値はマイナスであり、アルカリ性ダイエットに適しています。穀物類、動物性たんぱく質、乳製品のような食品のPRAL値はプラスであり、アルカリ性ダイエット法を実施している人にとって摂取してはいけないものになります。 しかし、尿のpHレベルは、すぐにそして簡単に変化してしまうため、身体の健康の良い指針とはなりません。アルカリ性ダイエットでは、酸性の食品は身体の血中pHレベルに影響を与えるとも主張しています;しかし、このことは身体の精密な緩衝システムを説明していることにはなりません。身体は、食事制限の必要なしに自身で血中pHレベルを修正し、7.35-7.45の間になるように設計されています。特定の食品を摂取した後に、血液は若干アルカリ性か酸性に傾くかもしれませんが、自然と前記した通り健康なpHレベルを維持することになります。 しかし、アルカリ性ダイエットがすべて悪いわけではありません。 アルカリ性ダイエットは主に植物由来であり、一般的に塩分、添加砂糖や脂肪が低いのです。これらの理由から、心臓血管系の健康を促進し、肥満の予防になるかもしれません;このことが血液や尿のpHの変化に関係してはいないのですが、果物や野菜の摂取が増加することで癌の発現のリスクを下げることも示されています。しかし、明確に言うと、アルカリ性ダイエット自体が癌を予防することを証明するエビデンスはありません。 十分な量の栄養素の摂取を確保するためには、バランスのとれた多様な食餌を楽しむことです。食品群全体(例えば、穀物製品、肉と代替品、牛乳と代替品)を除外することは、たんぱく質、カルシウム、ビタミンBや鉄分のような重要な栄養素を容易に取りそこなうことになります。アルカリ性ダイエットをしている人々、その他の食品群全体を制限しているダイエットをしている人々は、栄養不足を呈するリスクが増大するかもしれません。 では、評決は? アルカリ性ダイエットは野菜と果物をより多く、そして塩分、脂肪、添加砂糖をより少なく摂ることを奨励しているので、これらの食習慣は健康に良い影響を与えるでしょう。しかし、これらの健康への恩恵は血液や尿のpHレベルとは何の関係もありません。幸いなことに、これは、アルカリ性ウォーターで財布を空にすることなく、もとの水道水に戻して良いことを意味しています。食品群全体を制限しているときに、バランスのとれた食事を取り続けることは困難であるということも、心に留めておいてください。pHレベルのように、バランスが鍵となるのです!

バンクーバーダイエティシャンズ 1778字

最良に歩くための方法

基本的な人間の機能である歩行をうまく行えていれば、身体の強さと健康を維持するための良いリセットになる。自然にできるリセットがリセットになっていないのであれば、何かできることはあるでしょうか?

オリジナルストレングス 4:04

ランジポジションでの股関節減圧

発達過程で経験するポジションを十分に経験しなかった人たちにとって、特に重要となる左右の股関節の圧縮と減圧を練習するためのポジションとは?DR.ドゥーリーのイマキュレートダイセクション:コア のコースからの抜粋をご覧ください。

キャシー・ドゥリー 3:12

プログラムデザインのためのコーチングポイント

アスリートに、純粋に加速の向上を目指したドリルを指導する場合のドリル継続時間と、回復に必要なレストの割合とは?トレーニングプログラムにおいて、どの程度の時間をかけ、何種目を選択すべきか?具体的なアイデアをリー・タフトがシェアします。

リー・タフト 5:20

組織変化と痛み:これらの関連性の説明

構造は運命ではない・・・しかし、それでも、重要なのかもしれません。ご存知の通り、MRIで脊椎の退行変性が確認されても、まったく痛みがないことがあります。これらの変化は痛みの条件としては十分ではありませんが、完全に無関係とも言えないのです。
 MRI Findings of Disc Degeneration are More Prevalent in Adults with Low Back Pain than in Asymptomatic Controls: A Systematic Review and Meta-Analysis.(椎間板退行変性のMRI所見は、無症状対照群よりも腰痛を患っている成人により頻繁にみられる:系統的レビューとメタ分析) AJNR Am J Neuroradiol. 2015 Dec;36(12):2394-9. doi: 10.3174/ajnr.A4498. Epub 2015 Sep 10. これが真実でなければいいのにと思います。 Brinjkjiらの最近の系統的レビュー(2015)では、腰痛を患っている人の方が、MRIでの変化や“異常”の有病率が高いことを示唆しています。この所見は、Hancockらの研究(2017)でも、腰痛を患っている人の方が、MRIで見られる変化の数が多い傾向にあると示すことで同調されています。 これらは同様の統計的レビューであり、退行変性とは、正常であり“体内におけるシワ”のようなものであると示しています(リンク先)。これは、MRIで観察される変化や異常は、痛みがまったく伴わなくても無条件に起こることを意味しています。ある年齢(だいたい20歳ぐらい)に達してもMRIに変化が見られないことの方が奇妙かもしれません。これが私たちのすることなのです。ここでも診断名は・・・人間であるということです。 腱など他の構造でも同じことがみられます。腱症も、将来的に腱障害(腱症と疼痛)となるリスク要因となるからです。(リンク先) しかし、私たちは、二つの矛盾するように見える課題に直面しています。ひとつは、退行変性があっても痛みがないことがあると示唆し、もうひとつは、痛みがある人にはより多くの退行変性や構造的変化が見られると示唆しています。 では、どうやってこれらを仲裁すれば良いのか? もしかしたら、この構造上の変化を、火をおこすための焚き付けのような見方をしてみたらいいかもしれません。 火ではない。組織の変化に似ている? 
焚き付け自体は火ではありません。その前段階であり、火がつく前に着火材や火種が必要です。退行変性もこれと同じように見ることができます。これのみでは痛みを起すには十分ではないので、痛みの“火種”や“火”を起すための感作物質のようなものが必要なのかもしれません。時には過剰な物理的な負荷が着火材になります。過度な心理的負荷も着火材になるかもしれません。また、適応しきれない生活の変化がストレス要因かもしれません。痛みは多次元的であり、着火材はどこからでも発生します・・・しかし、解決方法も同じです。焚き付けは、火の前段階で、感作物質は炎を出すための火種のようなものです。やっとこれで料理が始められます。 これは火です。 火を消して、痛みを消す 幸いなことに、痛みを消すのに構造を変えなくてもいいのです。実際、ほぼ変えることができないのですから、ちょうど良かったのです。大まかに分けて次の二つのことができるでしょう: 1.感作物質を変える必要がある。このための方法はいくつもある。 または、 2.その感作物質や構造上の変化に対する耐性を構築する。 これは、痛みの例えに使われるカップに似ています。人生のすべての感作物質がカップを“いっぱい”にし溢れ出てきたとき、痛みが起こるというものです。 溢れているカップ:信念、姿勢、睡眠、習慣、組織の健康、心配、ストレス、恐れ カップを大きく作り直すか、カップの中身を減らすか。つまり:落ち着かせ、作り直す。 感作物質を減らすか、または、カップを大きく作り直すか、どちらかを選ぶことができます。このことは、腱障害を用いてうまく説明されています。退行変性や腱症を劇的に変えているのではなく、むしろ、腱症の周囲に健康な腱を構築しています。そうすれば、正常な負荷であれば、もう感作されずにすみます。腱障害を患っている人への負荷をゆっくりと適用していくことは、カップを大きくする(腱が適応したり、痛覚の調節が行えるようになるなど。)と同時に感作物質を減らすことにもなります(痛みが増悪することなく腱に負荷がかけられるようになることによって、自己効力感が芽生え、恐怖心が減少し、回復力の構築し、希望が増え、痛覚を下げることにもつながります)。
 なぜ、このような説明をしているのでしょうか? 正直に言えば、説明したくありませんが、私の臨床で何十年も言い続けている(もちろん、それだけ長い間知っていました)ことがあります。それは、痛みを伴わない、大きな退行変性や、椎間板ヘルニア、筋断裂、腱病変が起こり得るということです。これは素晴らしいメッセージであり、正にその通りだと思います。しかし、これらの変化は完全に無関係であると言ってしまうのは臨床的にも正直ではありません。これらが宿命なのだと言いたくないだけです。 この例/比喩を用いることによって、患者たちが抱えている痛みについて、さらにその画像診断について彼らが信じ込んでいることを確認するのに役に立ちます。自分の痛みを正確に写し出している画像であると自動的に信じている場合、彼らに希望を持たせてあげることができます。火種を治療して、痛みを消すのです。 追伸:私は、想定された力学運動の“機能不全”や“障害”にもこの同じフレームワークを使います。筋力低下や緊張、こわばった動き、外反膝、肩甲骨の運動異常があっても、痛みが一切ないことがあります。もし、痛みがあったとしても、それらを変える必要はないのです。ただし、いくつかの条件下では、痛みに関連していることがあり、それらに取り組むことで痛みを軽減できるかもしれません。それならば、その条件下での動きに耐えられるように他の部位にも取り組んでみます。これがカップの素晴らしいところです。動きを改善したり痛みに対処したりする方法はたくさんあるのです。修正すべきことがたった一つしかないということはほとんどほとんどありません。臨床的にも “この症例において修正すべきことは何かあるのか?”と自問してみることは、必要な思考プロセスです。さらにこのテーマに関する異論を引き起こすであろう投稿を見てください:なぜ私は機能不全の状態で強化するのか。

グレッグ・リーマン 2846字