マイクロラーニング
隙間時間に少しずつビデオや記事で学べるマイクロラーニング。クイズに答えてポイントとコインを獲得すれば理解も深まります。
負荷管理とは何か?
トレーニングの負荷管理とは一体何を意味しているのでしょうか?誤解されている部分も多いこのコンセプトについて、そしてこのコンセプトに対してのよくある間違った通念について、エキスパートであるティムがわかりやすく解説をしてくれます。
アスリートはスマートにハードにトレーニングすべきか?
ハードにトレーニングすることは、スマートに(賢く)トレーニングすることを意味するのかもしれない。アスリートのピークパフォーマンスの実現と怪我のリスクの最小化にとって、トレーニングの強度はどのような役割を担うのでしょうか?
トレーニング負荷に関する5つの質問
トレーニング負荷管理に関して、数々の疑問や質問を持っている肩も多いと思います。4月に来日するティム・ギャベットが、よく受ける質問に対しての回答をわかりやすく丁寧に提供します。
何もしないと決める前にもう一度考える必要性
急性:慢性トレーニング負荷の割合の持つ真の意味を理解するために、そしてアスリートに対してのトレーニングプログラムに関する変更を決断する場合、単に急性:慢性トレーニング負荷の計測データのみでなく、考慮する必要があることとは何なのでしょうか?
最悪の場合のシナリオに向けての準備
アスリートのリハビリから試合や競技への準備をする際、最終的にアスリートを準備させるべき状況とは、どのようなものなのでしょうか?ただ平均的なデマンドに向けの準備のみでは不足するとすれば、キャパシティーをどこまで構築していく必要があるのでしょう?
アスリートとコーチからの同意
トレーニング負荷の管理を実践に移す場合、アスリートやコーチ達が納得して同意をすることができるように、説得をするためのソフトスキルとはどのようなことが必要になるのでしょうか?4月の来日WSが9月に延期になったティム・ギャベットのインタビュー。来日が待ち遠しいですね。
トレーニングデータを解釈する際は、何もしないと決める前によく考えよう!
負荷管理とは「アスリートにトレーニングさせない」ということではない! 「負荷管理」はハイパフォーマンススポーツにおいて人気の出てきたフレーズですが、残念なことに、この方法は一般的に、選手に休息を取らせる、練習を休ませる、またはプレー時間を短くすることと関連付けられてしまっています。このフレーズは非常に一般的になってきていて、平均的な「スポーツファン」でさえも負荷管理について意見を持っています。通常、自身の好きな選手を見るために多くのお金を払ったのに、彼らはその選手が「負荷管理」という理由により休まされている事を知るためだけにアリーナにやってくることがあるのがその理由でしょう。 以前の記事の中で、アスリートのトレーニングをモニタリングするいくつかの重要な理由を述べました: (1) 高い慢性的なトレーニング負荷を築き上げ、 (2) 競技の最も強度の高い場面に備え、そして (3) アスリートをこのような高い負荷まで早く、そして安全に漸進させるため。 効果的にアスリートを管理することの明らかなメリットを考慮したとき、負荷管理が単に、スポーツ医学のスタッフが「アスリートをトレーニングから休ませるため」の口実として作り上げた言葉であると、一部のコーチや解説者がいまだに(間違って)信じているのは興味深いことです。 スポーツは進む方向を見失い、私たちはまた同じ方向に進んでいるのでしょうか? 2000年代の初め、研究者らは、特にチームスポーツにおいてトレーニング負荷と怪我の関係性について研究をし始めました。[1,3] この研究は、いくつかのテクノロジーの進歩と同時に起こりました−一つ目は、ウェアラブルな運動センサー(例、GPS)であり、そして二つ目はアスリートのトレーニング負荷を管理するために用いられるデータベースの導入でした。スポーツチームは、所属選手を追跡するためのさらなるリソースに投資し始めました−アスリートを管理するスタッフに支払われる給料は、プレーできない怪我をした「スター選手」にオーナーが支払うものに比べたらほんのわずかなものです。それは賢い投資でした! より多くのテクノロジーの開発者達が、彼らの商品が「怪我を予測し、そして予防する」ために利用できると明言し、メディアがその話を助長して、オーナー達はより興味を駆り立てられるのです。ハイパフォーマンスディレクターは「データ」を活用しているように見せなければならず、おそらくその最も簡単な方法がアスリートをトレーニングから外すことだったのでしょう。トレーニングの「限界」が設定され、アスリートが「走りすぎている」または「トレーニング負荷が高すぎる」ことを恐れるあまり、一部のパフォーマンススタッフはシーズン途中にコーチに練習を止めるように持ちかけることもありました! いくつかのケースにおいては追加のリカバリーはもっともなことかもしれませんが、常にアスリートをトレーニング負荷から遠ざけることは、競技の過酷な要求を切り抜けることができる頑健なアスリートを築き上げるための最良の方法ではないでしょう。[4] 私達はどのようにして頑健なアスリートを育て上げるか? 以前の見解とは正反対に、慢性的なトレーニング負荷の低さが怪我のリスクを増加させることを示すエビデンスが増えてきています。[4] これらの発見は、プレーできる状態のアスリートを増やすためには、トレーニング負荷を減らすよりも、より高い慢性的な負荷へと漸進させることが望ましい方法であることを示唆しています。しかし、スポーツパフォーマンスと医療のスタッフは、アスリートをプレーできる状態に維持することだけが仕事ではありません−これらのアスリートは必要なときにプレーする準備ができていなければなりません。 負荷−怪我についての研究と同様に、最近のエビデンスは、慢性的な負荷が高く、負荷の「スパイク(急激な上昇)」が少ないアスリートは、プレーする準備がよりできていることも示しています。[7] これらの結果は、効果的な負荷管理プログラムがパフォーマンスを向上させることができることを強調しています。トレーニング負荷以外の複数の要因が怪我のリスク [2,5] とパフォーマンス [5,7] の両方に影響を与えるであろうことが認識されている一方で、効果的な負荷設定プログラムの欠如は、目隠しをしながら的を撃つことと同様です。 もし、アスリートのトレーニング歴に関する情報がなければ、スポーツ医学スタッフはいかにしてトレーニング負荷のスパイクを回避することができるでしょうか? もし、トレーニング負荷を計測しないのであれば、アスレティックトレーナーや理学療法士、またはストレングス&コンディショニングコーチはいかにしてより高いトレーニング負荷へと漸進させることができるでしょうか? トレーニング負荷、アスリートの可用性、そしてプレーするための準備度の関係を考慮したとき、もし彼らのトレーニングプログラムが適切な負荷設定の戦略に基づいていないのであれば、どうしてアスリートは彼らの潜在的なパフォーマンスを達成し、怪我をしないでいつづけるための最大の可能性を得ることができるのでしょうか? 「フィットネス」とトレーニング負荷に対する耐性はどうでしょうか? トレーニング負荷のスパイクは怪我の発生に貢献するかもしれませんが、「負荷」のみでは全ての怪我を説明することはできません。さらに、一部の選手はトレーニング負荷のスパイクに対してより耐性がある一方で、他の選手はより影響を受けやすいでしょう。ケースによっては、トレーニング負荷のスパイクは不可避です(例、重要な選手が怪我からすぐに復帰する、プレーオフで複数のダブルオーバータイムの試合を行う)。もし、トレーニング負荷のスパイクが不可避であるならば、怪我のリスクを軽減させ、選手がスポーツで成功するための最大の可能性を与えるために、パフォーマンスとメディカルのスタッフはどのような実用的な手段をとることができるでしょうか? まず、もしメディカルスタッフが、近い将来に負荷が上がる可能性が高いとわかっているならば(例、週に1回の試合から複数回の試合へのスケジュールの変更)、そのスケジュールの変更前の数週において慢性的な負荷を増加させることで、負荷に対する耐性を向上させることができるでしょう。このプリローディングは慢性的な負荷を増加させ、それによって「底」と「天井」の間のギャップを埋めることができます−「底」からよりも「天井」から負荷を急激に上昇させることの方が難しい。なぜなら慢性的な負荷が小さいと、負荷は増加する他にないからです。 次に、しっかりと発達した身体特性(例、ハムストリングのエキセントリック筋力)は、独立して怪我のリスクを減少させることが示されています。 三つ目に、特定の身体特性(例、下半身の筋力、スピード、そして有酸素性持久力)は、トレーニング負荷と怪我の関係性をコントロールします−有酸素性持久力やスピードそして下半身の筋力がよく発達した選手は、身体特性があまり発達していない選手よりもトレーニング負荷のスパイクに対してより耐性があります [9](図1)。 図1.身体特性(このケースでは、有酸素性持久力)がどのようにトレーニング負荷と怪我の関係性をコントロールするかという例。トレーニング負荷と怪我の関係性はスピードや反復スプリント能力そして下半身の筋力によってもコントロールされる。[8] もし、絶対的な負荷(「底」または「天井」のどちらか)を短期間で変更することができなければ、パフォーマンスやメディカルスタッフはフィジカルテストの結果を用いて、特定の負荷設定パターンに基づいた明確なリスクグループに選手を分類することができます。トレーニング負荷と怪我の関係性の様々な調整因子の例、そして似たようなトレーニング負荷にある2人の異なるアスリートを実用的に管理するための提案を下に記します: 表1.似たようなトレーニング負荷を持つ2人の異なるアスリートに対する実用的な応用方法の例 備考 「トレーニングを変更する」とは必ずしも「より多くの休息を与える」ということではありません。専門家は、アスリートの管理データを解釈し、行動を起こすための実践的手引きとしてこのフリーアクセスの論文 [6] を参照してください。 何もしないと決める前によく考えよう! あらゆるトレーニング日における怪我の絶対的なリスクは非常に低いものです(トレーニング日につき1%未満)。疑心暗鬼になるよりも、専門家は何もしないと決める前によく考えることが推奨されます。 頑健で耐性に優れたアスリートを築き上げることは、良いトレーニングプログラムから始まります。スポーツ医学の専門家は、(1)頑健なアスリートを育てるトレーニングをデザインする自身の能力と、(2)彼らのアスリートは自身が思う以上に耐性があることを信じるべきです。 最後に、効果的なアスリートの管理プログラムでは、選手のトレーニング負荷を許容する能力に影響を与える調整因子を考慮します。これらの調整因子とそれらがトレーニング負荷に対してどのように作用するかといった知識によって、トレーニング負荷のみを独立して測定するよりも、より包括的なアスリートの管理システムを得ることができるでしょう。 参照 Anderson L, Triplett-McBride T, Foster C, et al. Impact of training patterns on incidence of illness and injury during a women’s collegiate basketball season. J Strength Cond Res 2003;17:734-738. Bittencourt NF, Meeuwisse WH, Mendonca LD, et al. Complex systems approach for sports injuries: moving from risk factor identification to injury pattern recognition-narrative review and new concept. Br J Sports Med, 2016;50:1309-1314. Gabbett TJ. Influence of training and match intensity on injuries in rugby league. J Sports Sci 2004;22:409-417. Gabbett TJ. The training—injury prevention paradox: should athletes be training smarter and harder? Br J Sports Med 2016;50:273-280. Gabbett, T.J. (2018). Debunking the myths about training load, injury and performance: empirical evidence, hot topics and recommendations for practitioners. Br J Sports Med 2018: bjsports-2018-099784. doi: 10.1136/bjsports-2018-099784. [Epub ahead of print]. Gabbett TJ, Nassis GP, Oetter E, et al. The athlete monitoring cycle: a practical guide to interpreting and applying training monitoring data. Br J Sports Med 2017;:bjsports-2016-097298. doi:10.1136/bjsports-2016-097298 Hulin, B.T., Gabbett, T.J., Pickworth, N.J., Johnston, R.D., and Jenkins, D.G. (2019). Relationships among PlayerLoadTM, high-intensity intermittent running ability and injury risk in professional rugby league players. International Journal of Sports Physiology and Performance, (in press). Malone S, Hughes B, Doran DA, et al. Can the workload-injury relationship be moderated by improved strength, speed and repeated-sprint qualities? J Sci Med Sport 2018; https://doi.org/10.1016/j.jsams.2018.01.010. Windt J, Zumbo BD, Sporer B, et al. Why do workload spikes cause injuries, and which athletes are at higher risk? Mediators and moderators in workload—injury investigations. Br J Sports Med 2017;51:993-994.