固有受容器:ルフィーニ終末

ルフィーニ終末という固有受容器は、動きからどのような情報を受け取るのでしょうか?身体運動と関節包により多く存在するルフィーニ終末の関わりを解説したグレイ・インスティチュートのビデオをご覧ください。

グレイインスティテュート 7:11

固有受容器:ルフィーニ終末 2

関節包内に数多く存在するルフィーニ終末と、本質的な環境における本質的な動きとの関係性とは?ギャリー・グレイが、固有受容器と3DMAPSの関わりを解説します。

グレイインスティテュート 8:11

固有受容器シリーズ:音楽、指揮者&筋紡錘

私は音楽を幅広く楽しんでいます。できるだけ多くの時間音楽をかけていたい(告白をすると、記事を執筆している今も音楽を聴きながら書いています)。音楽は反応を喚起します。エネルギーに溢れた、ワクワクするような、リラックスするような、ドラマチックな、落ち込むような、感覚が麻痺するような、ロマンチックな(などなど)の反応かもしれません。 上記にも述べたように、音楽は反応を喚起します。運動も同様に、固有受容器のスイッチをオンにする反応を喚起します。 音楽に関して、私はすべての様式を好むわけではありませんが、すべての様式を尊敬しています。個人的には、ヒップホップ、カントリー、R&Bが大好きなのですが、これが面白い組み合わせなのはわかっています。 音楽のことをお話しているので、オーケストラに関して少し述べてみたいと思います。辞書.comは、オーケストラを”交響曲、オペラ、ポピュラー音楽、そのほかの楽曲を演奏する、弦楽器やクラリネット、フルート、コルネット、トロンボーン、ドラム、シンバルなどを含む、様々な楽器のパフォーマーの集団”と定義しています。 指揮者は、音楽プロダクションをひとつにまとめます。マイケル・ボウルズは、彼の著書”The Art of Conducting (指揮の芸術)”の中で、下記のように述べています: 作曲家の楽譜を、楽譜に含まれる特定の表示を反映するように解釈する; 楽譜にテンポを設定する; 楽譜のアンサンブルによる正しいエントリーを確実にする;そして 適切なところで楽譜のフレーズを”シェイプ”する。 基本的に指揮者は楽譜を受け取り、楽譜を学習し、楽譜に反応し、楽譜のアンサンブルを準備し、楽譜を提供し、適切なところで楽譜に影響を与えるのです。 ですから、指揮者はプロダクションの出力のためにオーケストラに影響を与えます。これと同様に、筋紡錘(固有受容器)はタスクへの出力のために筋肉に影響を与えます。 筋紡錘は、すべての固有受容器の中でもユニークな立場を持っています。筋紡錘の筋肉内における位置と、筋紡錘内の収縮性(運動)セクションの存在のおかげで、これらの感覚受容器は、身体がタスクを実行することで生み出される筋肉の協働に多大な影響を与えます。ここで問いかけとなるのは: 紡錘内繊維の一部に、なぜ収縮(伸張&短縮)することができる繊維が存在するのか? これが、筋紡錘からの神経ー知覚情報に影響を与えるのか?そして最終的に人間の運動中に生み出される筋協働に影響を与えるのか? 筋紡錘内には繊維があります。これらの繊維は、実際に収縮をする紡錘外筋繊維と対照的に、紡錘状の被嚢性繊維内にあるために、紡錘内繊維と呼ばれます。感覚終末がこの紡錘内繊維を包んでいます。紡錘内繊維は、直接的に、あるいは間接的に紡錘外筋繊維に繋がっているために、筋肉の伸張とともにこれらの繊維も伸張し、2つの異なったタイプの感覚神経終末の放出という結果となります。筋紡錘は筋肉の伸張と、その伸張の速度に関する情報を提供するものであると認識されています。最近の動物実験、および人間における限定した範囲内でのリサーチは、これらの推測を支持するとともに、情報の性質そのものに関する洞察も提供しています。 紡錘内繊維のあるタイプにみられるユニークな収縮性のある終末は、最も興味深いものです。筋紡錘は、ストレス測定器のように機能します。ストレッチをされればされるほど、より発火するのです。筋肉が短縮されたポジションにある時、測定器は弛緩して、あまり発火しません。筋肉が伸長されたポジションにある時、測定器はより強くストレッチをされかなりのレートで発火をするのです。ただ、そこでの問いかけとなるのは: もし身体が筋紡錘から、より一貫した情報を欲しがっているのだとしたらどうだろうか? もし要望されている情報が、筋肉が短縮していても伸長していても比較的同様のものである必要があるとしたらどうだろうか? 何年間もの間、グレイインスティチュートは、収縮性を持つセクションは、筋紡錘が筋肉の伸張と伸長の速度の変化を”計測する”ことで、筋紡錘の感受性(ゲイン)に影響を与えるように機能することが可能ではないかと示唆してきました。もし筋肉がストレッチされたポジションにあれば、筋紡錘の”ゲイン”は増幅します。しかし、収縮性の終末が弛緩することができるなら、筋紡錘の感受性は、より一貫性のあるものになるかもしれません。同様に、筋肉の短縮したポジションによって筋紡錘の感受性が低減されれば、収縮性の終末は硬くなるかもしれず、ここでもまた”ゲイン”は同様となるでしょう。”筋紡錘の計測器”の一貫した感受性のメリットは、感覚情報が筋長に影響されることが少なくなり、筋の長さに関わることなく、長さの変化とその速度をよりよく示すものになるということです。 最近のリサーチは、いつ感覚情報が筋紡錘によって生み出されるのかに関する洞察を提供し始めています。人体における運動の研究は、受動的で単関節に孤立化したものであるために、これらの解釈をする際には注意が必要となります。筋紡錘の休止中における残余”ゲイン”(または感受性)が存在するようです。紡錘内繊維の終末にある収縮性要素が、この”ゲイン”を設定するのかもしれません。この”ゲイン”は、最近の運動履歴に影響をされるようです。これは、利用可能な可動域内において様々なエリアに様々な速度で関節を動かす運動を作り出すことが、不可欠であることを示唆することになります。筋紡錘内には、交感神経終末が確認されています。これは”ゲイン”が、我々の覚醒状態や痛みなど、その他の行動学的ドライバーに影響されることを示唆しています。筋紡錘に関して発見されるべきことは、かなり沢山あり、これがある基礎的でありつつ重要な問いかけを求めることになります: 私達が学ぶことが、いかにトレーニングやリハビリのプログラムに影響をするのか? だからなんだと言うのでしょう、誰が気にかけるのでしょう、なぜこの情報が重要なのでしょうか?グレイインスティチュートは、下記のステートメントを含む多くのフレーズを作り出しています:”運動は固有受容器のスイッチをオンにする。固有受容器は筋肉のスイッチをオンにする。そして筋肉は運動をコントロールする。”適切な(機能的な)運動が鍵となるために、3DMAPS ( 3D運動分析&パフォーマンスシステム)が、あらゆるアセスメントやプログレッション/プログラムにとって重要なのは、そのためなのです。 3DMAPSの分析動作のような全体的な動作は、”ゲインをトレーニングする”ためにも利用できるかもしれません。分析運動のトゥイーク(微調整)は、3DMAPSのパフォーマンスシステムの基盤となります。”ゲインをトレーニングする”戦略はすべて、応用機能科学の基本原則とともに常に一貫したものです。特に、動きの三面全てを含むこととともに、身体の様々な部位という本質的なドライバーを利用することを含みます。固有受容器は、運動のすべての側面を本質的に含有することを望むために、3Dの要素は重要です。筋肉は一つの面にでのみ伸張し、短縮するのではなく、三面全てにおいて伸張、短縮するのです。 筋紡錘をトレーニングするために、スピードを使うこと以外にも、筋肉を異なった長さにおいてトレーニングすることには2つの側面があります。最初の側面は、身体のスタートポジションです。これにより運動のスタート時における筋肉の長さが決定されます。二つ目の側面は、運動の実行です。これをほかの方法で説明する(問いかける)なら: スタートポイントから、動きが反転する時(トランスフォーメーショナルゾーンにおいて)のポジションまで、どれほどの動きが起きるのか? 筋肉の観点から言えば、運動が減速される前に、どれほどの筋長の変化が起こるのかを意味します。スタートポジションと運動の実行という両側面において、全身に存在する筋紡錘の”運動履歴”に貢献をするのです。 私達が機能的に”ゲインをトレーニングする”ことでのゴールは、様々なポジションや条件における成功のチャンスを向上させるために、多様性のある”運動履歴”を作り出すことです。3DMAPSのパフォーマンスシステムにおける運動戦略のすべては、これに多大に貢献するでしょう。特にパワフルなのは、両手両足により多くの安定性を提供した(ドア枠や壁、True ストレッチステーションなどを利用して)”サポート”というタイトルのついたパフォーマンスムーブメントです。両手両足にサポートを提供することで、個人の身体はより大きな可動範囲(身体全体を通してより良いモビリティーを得る)を容易に動くことができます。手や足のポジションを微調整することで、スタートポジションが変化し、異なったスタートポジション(筋長)からの運動の実行により筋肉の長さにも変化が生み出されます。様々な面で、様々なスピードで、様々な身体部位をドライバーとして、様々なポジションから多様な実行をすることで、各個人の持つニーズや望みゴールに基づいた豊かな”運動履歴”の経験を作り出すことができるのです!

グレイインスティテュート 3866字

固有受容器:筋紡錘(デビット・ティベリオ)

固有受容器の中でもユニークな存在できる筋紡錘と動きのトレーニングに関して、そして特定のスキルトレーニングへの応用に関して、グレイインスティチュートのGIFTプログラムの学長であるデビット・ティベリオ博士が解説します。

グレイインスティテュート 10:36

背屈:いつ、どこで?

背屈は矢状面での動きです。この用語は、足の甲(背側面)が脛骨に向かって屈曲することを表現するために使用されます。背屈は一般的に足関節で起こるものと考えられますが、前足部と後足部を分ける横足根関節でも起こり得る動きです。定位置の脛骨に対して動く足部の動きに限定されたものではありません。背屈は、脛骨が足部に向かって動く時、あるいは足部が脛骨に向かって、脛骨が足部に向かって動いている時にも起こります。 背屈が足関節のみで起こるべき時もあれば、機能的運動において背屈が足関節と中足部で起こるべき時もあります。足部の“魔法のような”生体力学的真実の一つは、距骨下関節が回内/外反する時、横足根関節での動きが利用可能になるということです。距骨下関節が回外/内反する時、横足根関節の動きはかなり制限されるはずです。なぜこれが重要なのでしょうか?それは、私たちの足が地面に着地する時、足部は地表面に適合できるように柔軟性を持ちつつ、筋肉群へのローディングにも貢献したいからです。しかし、歩行中に前方に進むために地面を押す時、柔軟な足部は、メカニクス的にかなり不利になります。距骨下関節のポジションによって引き起こされる、横足根関節の可動から安定へ(そして安定から可動へ)という転換は、あらゆるタイプの機能においてとても重要なことなのです。 最も一般的な人間の機能である歩行を観察するなら、足部は、歩行サイクルのそれぞれの段階において可動から安定へと変化をしています。踵が地面にあたり、脚がローディングされ、距骨下関節が回内ポジションへと動くために、横足根関節の可動生は増幅し、衝撃吸収と地表面への適合を促進します。背屈は足関節と横足根関節において起こりえます。歩行サイクルの後半において、前進するにあたり身体が足部を通り越す時、横足根関節はより安定性を持ち、この時の背屈のほとんどは足関節で起こるべきです。ローディング中の安定した足部も、推進中の可動する足部のどちらもが、機能を抑制し組織へのストレスを増加させることになります。 誰かがジャンプの準備をする時、背屈はとても重要です。筋肉にローディングをするために身体が沈み込むと、脛骨は前方に動いて足関節の背屈を起こします。このローディングはまた、距骨下関節を回内ポジションに動かし、それによって横足根関節は可動性を得ます。重力が後足部を下方に駆動し、これによって横足根関節での背屈が起こります。これらの正常な関節運動におけるいかなる制限も(ローディングのための背屈を妨害する)ローディングを低下させることになります。不十分なローディングは、エクスプロード/爆発(ジャンプ)を抑制することになるのです。 上記で解説をした2つの機能的活動に基づけば、距骨下関節の回内/外反ポジション及び、回外/内反ポジションの両方において、背屈が可能でなければならないことが明白となります。この生体力学的“真実”は、荷重時に三次元的な柔軟性運動を生み出す戦略を必要とします。足部が可動性を持つ時も、足部が安定性を持つ時も、背屈を生み出すために身体は足部の上で動かされます。これは、1 : 距骨下関節をどちらかのポジションにすること、あるいは、2 : 背屈と同時に距骨下関節の動き(回内、または回外)が起こるように身体を駆動することによって達成されます。 一旦3Dの柔軟性が向上すれば、身体が、その新しい動きを”使う“ことができるように機能的運動が採用されます。そして最後にプログラムは、筋肉がこの新しい動きをコントロールするトレーニングをするために、背屈へのローディングと、背屈からのエクスプローディング/爆発を必要とする運動を含んでいなければなりません。 グレイインスティチュートのCAFS(応用機能科学認定コース)で学ぶトゥイーキング(微調整)戦略と、3DMAPS(3D運動分析&パフォーマンスシステム)は、指導者が、クライアントの成功を生み出すための適切な環境と運動を作り出す力を与えます。

グレイインスティテュート 1677字

チェーンリアクションバイオメカニクス・相対的な動きと実際の動き:距骨下関節

足首の関節のすぐ下、距骨と踵骨の間に存在する距骨下関節の動きが身体全体に与える影響を理解するには、実際の骨の動きを理解し、骨と骨の間の相対的な動きを三面的に理解する必要があります。グレイインスティチュートのチェーンリアクション生体力学の観点から、デーブ・ティベリオ博士の分かりやすい解説をご覧ください。

グレイインスティテュート 12:06

チェーンリアクションバイオメカニクス 相対的な動きと実際の動き:肩の動き

肩関節(関節窩と上腕骨の接合)の動きは、上腕骨骨頭と肩甲骨の関節窩の間に相対的な動きがある時に起こります。他のすべての関節同様に、それぞれの骨の実際の動きも起こり、多くの場合において両方の骨が動いています。肩関節は三面というのみでなく三軸として解説をされます。肩関節における動きは、三面のどの面においてもそれぞれに起こり、複雑な機能を促進する複数の三面的な組み合わせを可能にします。 肩関節は、四肢の関節として考えられ、他の全ての四肢の関節同様に、相対的な関節の動きは、近位の骨に対する遠位の骨の関係性によって名称をつけられます。両方の骨が同じ方向に動いているとき、もし上腕骨(遠位の骨)が肩甲骨よりも早く動けば、上腕骨の実際の動きと、肩関節の相対的な動きは同じものとなります。これは、目で見てもわかりやすく、頭でも理解しやすいものです。もし上腕骨が肩甲骨よりも早く外旋をすれば、相対的な関節の動きは外旋になります。混乱の原因になり得る唯一のことは、肩甲骨の実際の動きを表現するために使われる用語のみでしょう。しかし、肩甲骨が上腕骨よりも早く動く時、それぞれの面においての一貫した用語の欠如がより大きな混乱を生み出すことになります。下の表は、それぞれの骨が同じ方向に動くときの実際の骨の動きを表したものです。 肩甲骨が上腕骨よりも早く動くとき(同じ方向で)には、私たちが見る上腕骨の動き(実際の骨の動き)と肩関節の相対的な動きは同じではありません。反対の動きになります。上の表のそれぞれの面を使った例としては: 肩甲骨が、上腕骨の伸展よりも早く前方回旋するとき、相対的な関節の動きは屈曲になります。 肩甲骨が、上腕骨の内転よりも早く下方回旋するとき、相対的な関節の動きは外転になります。 肩甲骨が、上腕骨の内旋よりも早く前突するとき、相対的な関節の動きは外旋になります。 機能において、もし動きが手によって駆動されていれば、通常上腕骨の方が早く動きます。しかし、動きが頭部、体幹あるいは脚に駆動されているときには、多くの場合肩甲骨がより早く動きます。 機能的活動において、骨はそれぞれ相反する方向に動いているかもしれません。この場合、相対的な関節の動きは、どちらの骨がより早く動いているかによって決定されるのではありません。もしそれらの骨が同じ面で相反する方向に動いているのであれば、近位の骨は、遠位の骨によって作られた関節の動きに加わることになり、相対的な関節の動きは、遠位の骨の動きと同じものになります。 機能にとって重要な、骨が相反する方向に動く特別のケースがあります。これは、骨が同じ方向に動くことからスタートしますが、遠位の骨よりも先に近位の骨がその方向を逆にする場合です。これはグレイインスティチュートで、トランスフォーメーショナルゾーンと呼ぶ状況で起こります。この近位の骨が遠位の骨よりも先に動く順番は、全ての機能的運動の一部である、筋肉へのパワフルで機能的なローディングを生み出すものなのです。

グレイインスティテュート 1287字

チェーンリアクションバイオメカニクス 相対的な動きと実際の動き:肩関節

グレイインスティチュートのチェーンリアクションバイオメカニクスを理解するために不可欠となる、実際の骨の動きと相対的な関節の動き。2つの骨は同じ方向に動いているのか、それとも相反する方向に動いているのか?どちらかの骨がより早く動いているのか?肩関節の動きを例にとって考えます。

グレイインスティテュート 12:24

相対的な動きと実際の動き 歩様における前側の股関節:矢状面

歩様のサイクルにおいて、前側の足が地面にぶつかる時、チェーンリアクションが起こります。重力と前方へのモメンタムが床反力に合うことで、足部から腰椎まで特定の関節運動が引き起こされます。この関節運動が筋肉を伸長しローディングします。ヒールストライク(踵の着地)によって起こった動きを減速した後で、同じ筋群が動きを反転し、ローディングを“エクスプロード:爆発”に変換し、身体を前方へと進めます。右足が地面にぶつかった時、前側の脚の股関節に起こる3つの相対的な関節の動きは、屈曲、内転、内旋です。運動指導に関わる皆さんは、生み出された動きを理解することに加えて、これらの相対的な関節の動きを引き起こす特定の実際の骨の動きを知っていなければなりません。 矢状面における股関節の屈曲は、大腿骨が屈曲し、骨盤が前方に回旋するときに起こります。これらの骨は相反する方向に向かって回旋し、それによって相対的な関節の動きである屈曲が生み出されることになります。骨盤の前方への回旋は僅かな動きではありますが重要な動きです。股関節屈曲を増幅させ、股関節伸展筋群へのローディングを増大させます。骨盤の前方への回旋は、また腰椎の伸展を起こし、腹筋群を矢状面においてローディングすることにもなります。 もしクライアントが、ヒールストライク時に骨盤の後方への回旋をするようであれば、筋群のローディングは減少し、歩き回るために必要なエネルギーの消費は増大することになります。骨盤の前方への回旋の欠如は、ヒールコンタクト時の骨盤のポジションに関わる様々な要因が考えられます。ハムストリングスの硬さは、骨盤をより後傾したポジションに位置付け、骨盤の前方への回旋を制限したり阻止したりするかもしれません。3DMAPS®のポステリアチェーン運動分析は、このハムストリングスの制限を確認する役に立つでしょう。 踵が床にぶつかる時、腰椎の伸展に制限があれば、骨盤の前方への回旋(腰椎の相対的な伸展を生み出す)が阻止されるかもしれません。この腰椎伸展の制限は、3DMAPS®のアンテリアチェーン運動分析によって確認されることでしょう。パフォーマンスシステムの運動における戦略は、これらの制限を修正するために使用されるものとなります。 歩様における大腿骨の実際の屈曲の制限は、それほどよくあることではありませんが、身体はチェーンリアクションであることを忘れないでください。膝の問題や足首の運動制限は大腿骨の屈曲を減少させることがあります。これは、股関節屈曲減少と、前側の脚の股関節伸展筋群へのローディング不足という結果となります。膝蓋大腿機能不全のような痛みを引き起こす膝の問題は、意識的な膝の屈曲低減に繋がるかもしれません。これによりクライアントは膝の痛みの低減を経験するでしょうが、膝屈曲の減少は大腿骨の屈曲を制限することになります。これは痛みのない方の脚のポステリアチェーンにおいて確認することができます。また、痛みのある方の脚のアンテリアチェーンにおいても、立脚側に注目をすれば、痛みのある脚へのランジをしたがらないことで表示されるかもしれません。 足首の背屈制限は、歩様における後ろ側の脚に対してよりネガティブな影響を与えますが、前側の脚のふくらはぎにローディングするための足首の背屈をためらうことは下腿部の前方への動きを制限することになります。これは、その結果として膝の屈曲を制限することとなり、上記に述べたようなチェーンリアクションのシナリオを生み出すことになる可能性もあります。アンテリアチェーン分析運動は、これら何らかの制限の有無を見せてくれるものです。 相対的な関節の動きを生み出す実際の骨の動きを理解することは、運動指導に関わる人たちに、3DMAPS®の分析とパフォーマンスの要素の両方の持つ効果性を最大化する力を与えてくれるでしょう。

グレイインスティテュート 1622字

相対的な動きと実際の動き 歩様における前側の股関節:矢状面(ビデオ)

歩様のサイクルにおける前側の脚、股関節の相対的な関節の動きと、実際の骨の動きのあるべきパターンとは?制限要因とは?そしてその確認方法とは?リード脚の矢状面における動きに注目した歩様シリーズの第一弾。

グレイインスティテュート 14:08

相対的な動きと実際の動き 歩様における前側の股関節:前額面

歩様のサイクルにおいて、前側の足が地面にぶつかる時、チェーンリアクションが起こります。重力と前方へのモメンタムが床反力に合うことで、足部から腰椎まで特定の関節運動が引き起こされます。この関節運動が筋肉を伸長しローディングします。ヒールストライク(踵の着地)によって起こった動きを減速した後で、同じ筋群が動きを反転し、ローディングを“エクスプロード:爆発”に変換し、身体を前方へと進めます。右足が地面にぶつかった時、前側の脚の股関節に起こる3つの相対的な関節の動きは、屈曲、内転、内旋です。運動指導に関わる皆さんは、生み出された動きを理解することに加えて、これらの相対的な関節の動きを引き起こす特定の実際の骨の動きを知っていなければなりません。 前側の股関節の前額面における内転は、大腿骨の実際の骨の動きである内転と後ろ側の脚に向かっての側屈によって生み出されます。右の踵が床にぶつかると、右の大腿骨は内転し、骨盤は左へ側屈(骨盤の左側が下がる)します。また、相対的な関節の内転という動作を生み出す、チェーンリアクションバイオメカニクスに、骨盤の並行移動(骨盤の右へのスライド)も加わります。この内転は、股関節後部外側の筋肉群を伸長しローディングして、動作を減速し、この減速のローディングを骨盤を反対側の脚に向かって動かす加速の力に変換します。 内転における身体的な関節の制限もあり得ますが、多くの場合において制限の原因はチェーンリアクションのどこか他の部分に存在します。右脚を前側の脚に指定したとして、実際の骨の動きを制限しえる生体力学的要因のいくつかを考察してみましょう。もし膝内側に痛みがあれば、右大腿骨の内転は、意図的に制限され得ます。右距骨下関節における外反/回内(床反力によって生み出されるべき)の制限は、膝の外反/外転ポジションへの動きを制限します。その結果としてのチェーンリアクションは、大腿骨内転を抑制することになります。どちらの場合においても、3DMAPS®の左の同側ラテラルの分析運動では、最適とは言えない動きが表示されるでしょう。右の反対側ラテラルモビリティー分析では、ランジをする足(右)の距骨下関節により多くの外反/回内を必要とします。 骨盤の動きの制限もまた、相対的な関節の動きを制限します。骨盤の左への側屈、および右への並行移動は共に関節の動きに貢献します。固い腸脛靭帯は、これらの骨盤の実際の動きを制限することがあります。腰椎の動きの制限もまた、骨盤の動きを減少させることがあります。骨盤が左へ側屈する時、その上に位置する腰椎の右への側屈を生み出します。腰椎の右への側屈の喪失は、前側の脚の内転に影響を与えます。3DMAPS®の左反対側ラテラル分析運動では、骨盤を左側屈し右へ並行移動することで、右股関節の内転を起こし、プラクティショナーが骨盤の実際の骨の動きを調べることができるようにします。腰椎が骨盤の動きの制限となり得るか否かを決定するために、脊椎を右側屈に駆動する腕の動きを用いる分析運動チェーンが2つあります。1つは、左同側ラテラルチェーン(上記に述べた)と、もう1つは右反対側ラテラルチェーンです。 3DMAPS®のパワーは、一旦運動機能不全が確認されれば、パフォーマンスシステムを利用して理論的な運動の順番をデザインすることができるということにあります。

グレイインスティテュート 1412字

相対的な動きと実際の動き 歩様における前側の股関節:前額面(ビデオ)

歩様のサイクルにおける前側の脚、股関節の前額面における相対的な関節の動きと、その動きを作り上げる実際の骨の動きとは?制限要因とそれらの確認方法とは?リード脚の前額面の動きに注目した歩様シリーズの第二弾です。

グレイインスティテュート 11:59