 
              SAQの向上
フィールドでのスポーツに於いて相手より優位になる為にもスピード・アジリティ・クイックネス(SAQ)の向上は必須です。多くの要素が関わっているSAQテクニックやSAQを向上させるトレーニングを、どのようにプログラミングし、コーチングするかのアイデアを集めたプレイリストです。スポーツ選手を対象にコーチングされているS&Cコーチやパフォーマンスコーチには是非、チェックして頂きたいプレイリストです。
 
    	ストレングス & スピード
私はストレングスコーチがこう言っているのを良く耳にします。“スピードドリルを教えるのに時間は割かないよ、俺はアスリートを強くする、そうしたら彼らは速くなるのさ。” 私はスピード向上の為にアスリートをより強くすることには大いに賛同しますが、ストレングストレーニングだけでは、多方向性のスピードにおける非ファンクショナルな動きのパターンを修正することはできません。 ここにトレーニングで優先すべきするものが何かを、素早く決断する助けとなる、私が使用している10個のシンプルな項目を記載します 基本的なものと思われるかも知れませんが、私達は基礎をより多く、極端なものはより少なくしていく必要があると思います! 1. 減速する能力に欠けるけれども、最低限でも体重の2倍(もしくは片脚の強さと同等)のスクワットができる選手 = 減速パターンの運動プログラミングに働きかける。 2. 減速する能力にかけ、体重に比べスクワットの数値が低い選手 = ストレングスに働きかける。 3. 上手に方向変換ができないけれども、スクワット/デッドリフトの数値が高い選手 = パワーのアウトプット(スピード)、弾力エネルギーの放出(プライオ)、そして俊敏性のメカニクスに働きかける。 4. カットが上手くなく、ストレングスのレベルに見合っていない選手 = カッティングのメカニクスに働きかけることと、足の角度を再調整する。 5. リトリートをしない選手(股関節を開いて後ろ向きに動く)= 股関節を開けるようにし、上半身と下半身を分離し、多方向へのスタートのスピート/加速の技術(素早く蹴り出すこと)に働きかける。 6. スタートのスピードは良くないけれども、“比較的” 強健な選手 = スタートにおけるスタンスの加力角度をチェックする。 7. スタートのスピードが良くなく、技術的には優れているが弱い選手 = 選手をより強く/パワフルにする。 8. クロスオーバーが上手くない選手(滞っている感じ)= 股関節のROM(可動域)に働きかけ、技術を修正し、それぞれの脚が独立して働くようにする(脚がその任務を遂行するのであれば、他方の脚からストレングスを奪うことはない。両脚が同じアクションを起こすのではなく、アクション リアクションがおこるのである)。 9. 加速が上手くはないけれど、相対的に強さのある選手 = メカニクス!全身を進めるのに充分な脚の振りができるだけの、充分な腕の振りはありますか? 10. 加速が上手くなく、弱々しい選手 = 彼がより強く/パワフルになるように鍛えましょう。 賢くトレーニングを!
 
    	プライオメトリック/ジャンプ/着地
アスリートがより爆発的になる様な筋の能力を向上させたい場合、筋肉を動員し、爆発的な動作を産み出すという速い動きを、トレーニングにおいて模倣しなければなりません。以下は、そのようなパワーを向上させるためのプライオメトリックとジャンプドリルのリストとその発展型です。 下記のパワーを向上させるためのスキルとドリルを注意深く見てください。アスリートが正しく行えることを確認しましょう。 プライオメトリックトレーニングという言葉は、スポーツトレーニング業界で大層なキャッチフレーズになっています。その言葉は、多分に誤解され、また多くの人に誤用されています。プライオメトリックトレーニングの背景には、筋や神経機能の能力を向上させ、力をより早く産み出すということがあります。プライオメトリックとは爆発的な種類のトレーニングなのです。 一方で、ジャンプと着地は、初心者や経験の少ないアスリートにとってより重要で価値のあるものです。正しくプライオメトリックを行えるようになるためには、ジャンプと着地の実行をまず習得しなければなりませんし、負荷に耐えられる様な一定のレベルの筋力が必要なのは言うまでもありません。 着地に関わる主な問題は、股関節筋群を通して脚を、下腿の筋群を使って足を安定させられないことです。股関節の筋力不足は足と足関節の機能に対して多大な影響も与えます。着地について他に考慮する点は、骨盤及び脊柱周りの筋の筋力です。これらの筋群は、骨盤と脊柱から力を分散させるために十分な筋力がなければなりません。 細かい説明は省きますが、十分に考慮しなくてはならないことは、着地とジャンプの動作中に、膝を足の向きと同じに、または力の方向に対して維持し、内側に入れない(外反)ことです。他には、脊柱の過度な屈曲や伸展を起こさないための骨盤と脊柱の能力が挙げられます。 基礎的なプライオメトリックとジャンプ・着地のためのエクササイズとその発展形を紹介します: その場で: その場ジャンプ&ホールド- その場ジャンプの目的はクオータースクワットからのジャンプと着地のテクニックを正しく評価することです。次のジャンプを行う前に着地時の姿勢を最低でも2秒間保持します。 その場ジャンプ&リバウンド- ジャンプ後に着地した後、素早く小さい「リバウンド(跳ね上がり)」を行い、着地後に姿勢を保持します。 その場連続ジャンプ- ここでは、アスリートが着地でクオータースクワットの姿勢をとった後、即座に跳ね返ってジャンプします。 その場ロケットジャンプ- アスリートはジャンプと共にロケットになった様に腕を頭上に真っ直ぐに伸ばします。このジャンプは、着地の度に姿勢を保持または連続して行えます。 タックジャンプ- アスリートは クオータースクワットより浅いポジションから出来るだけ高くジャンプし、最高点で膝を抱え込みます。このジャンプは接地時間を短くするようにします。 リニアジャンプ: ローハードルジャンプ&ホールド- アスリートは低いミニハードルを越えて前方にジャンプし、コントロールするために着地後に姿勢を保持します。 ローハードルジャンプ&リバウンド- ジャンプの着地後に素早い「リバウンド(跳ね上がり)」をしてから、着地後に姿勢を保持します。 ローハードル連続ジャンプ- 止まることなく連続してハードルを越えてジャンプします。素早くジャンプすることを強調しましょう。 その場ホップ: ジャンプから片脚着地&ホールド- アスリートは両脚で軽くジャンプ後に片足で着地し、着地時の姿勢を保持します。 ホップ&ホールド- アスリートは片足で軽くジャンプし、(同じ足で)着地し、着地時の姿勢を保持します。 ホップ&リバウンド- アスリートは片足で軽くジャンプし、着地と共に素早く「リバウンド(跳ね上がり)」し、着地後に姿勢を保持します。 連続ホップ- 連続してホップします。 リニアホップ: ホップ&ホールド- 前方に軽くホップし、着地後に姿勢を保持します。 ホップ&リバウンド- 着地後に素早く低いリバウンドをし、着地後に姿勢を保持します。 連続ホップ- 停止することなく連続してホップを行います。 ハードルホップ&ホールド- 前方に軽くホップし、着地後に姿勢を保持します。 ハードルホップ&リバウンド- 着地後に素早く低いリバウンドをし、着地後に姿勢を保持します。 連続ハードルホップ- 連続してホップを繰り返します。 横方向へのジャンプ: 横方向へのハードルジャンプ&ホールド- 横方向へジャンプしてハードルを越え、着地後に姿勢を保持します。 横方向へのハードルジャンプ&リバウンド- ハードルを越えて着地後、素早くリバウンドし、リバウンド後の着地後に姿勢を保持します。 横方向への連続ハードルジャンプ- 着地で停止することなく連続してジャンプを行います。 横方向へのホップ:各脚で外方向と内方向行う。 横方向へのホップ&ホールド- アスリートはラインまたはハードルを越えるようにホップし、着地後に姿勢を保持します。 横方向へのホップ&リバウンド- アスリートはラインまたはハードルをホップして越え、リバウンドし、着地後に姿勢を保持します。 横方向への連続ホップ- 着地で止まることなく連続してホップを行います。 バウンディング/ホッピング 右脚/左脚バウンディング- アスリートは片脚から逆脚へと連続してバウンディングを行います。 ホップバウンド- アスリートは右足から右足へホップした後、逆足へとバウンドします。 ボックスジャンプ: ジャンプアップ- アスリートはボックスの上に飛び乗ったあと、ゆっくりと降ります。 連続ジャンプ- アスリートはボックスの上にジャンプして飛び乗り、ジャンプして飛び降りることを連続して行います(低いボックスを使うべきです)。 上記のリストに加えられるエクササイズが無数あることを覚えていてください。すべてのエクササイズについて最も重要な要素は正しいテクニックです!
 
    	強いということは=スピードなのか?
人々が「より素速くあるための鍵が強さであるとすれば、パワーリフター達が世界最速のアスリートになるのではないか?」と言うのを聞いたことが何回ありますか? 私達の誰もが、これはより複雑なトピックの過度の単純化であることを理解しています。 スピードは筋力を必要とします。でもそれはなぜなのか? もしあなたがスプリンターであるとすれば、その強さは地面に向かってより大きな力を発揮し、身体全体の関節を通して安定をさせることができます。地面からより素速く離れる動きのポテンシャルを持つことになるのです。 もし地面からより素速く離れるように動くことができれば、地面の上でもより素速く動くことができます。ただ単に強いということだけでなく、このストーリーにはもっともっと沢山のことが関わっているのです。 ストレングス以外にアスリートをより速くすることに関与するその他の変数要素は: スプリントのメカニクス:より速いスピードを生み出すために、姿勢やポジションは有利なものである必要があります。 コーディネーション:腕と脚の相反を適切にするコーディネーションを望むのみでなく、中枢神経系と筋肉システムの生理学的働きが全てのシリンダーにおいて適切に働いている必要があります。コーディネーションと筋発火のタイミングがクリーンであればあるほど、より素速く発火することが可能となるのです。 リラックスしたスピード:高スピードへの到達のために頑張りすぎることは良いことではありません。アスリートは身体を固め始めムーブメントの自然な加算を不可能としてしまいます。 回復している:これがふわふわした曖昧な反応のように聞こえるのはわかってはいますが、これは他の全ての要素を組み合わせたよりもさらに重要です;もしアスリートがそのほか全ての変数要素をカバーしていても過度に疲弊をしていたとしたら、それでゲームオーバーなのですから。高レベルでのスピードは発現しません! また一方において、ストレングストレーニングは彼らの能力のサポートを助け、怪我の可能性の低減をする可能性もあります。 私の憂慮するのは、もし彼らがストレングストレーニングをやりすぎたとしたら、彼らに素速さを与えた遺伝的質というアドバンテージを失ってしまうことになるのか?ということです。はっきりとはわかりませんが、そのような予感はします。 まとめとしてストレングスはスプリントを助けるのでしょうか? 私達は、ストレングスがスプリントを助けうると推論することができると思います。このように述べるのは、適切に構築されたストレングストレーニングのプログラムを実行した後で、より素速くなったアスリートがあまりにも多く存在するからです。 私達はまた、ストレングストレーニングのやりすぎはスピードに対して逆効果を与え得るということも認めなければなりません。もしストレングストレーニングがアスリートの体重を増加させれば、サイズは大きくなりすぎたけれど、それを筋力(相対的筋力)でオフセットできなかったということにもなります。 あるいは、アスリートがかなりのヘビーリフティングを行うことで、共収縮特性が筋発火のシークエンスの加算を捻じ曲げるかもしれません。素速いアスリート達は、四肢を高スピードで動かすために、筋肉の相反する抑制アクションを必要とします。 とにかく、私の伝えたいポイントはお分かりいただけるでしょう。アスリートが強ければ強いほど、より正確によりコーディネートされた状態で力を地面に向かって生み出すことができ、それはより速いスピードという結果となるはずです。 ここでの問いかけは、どの程度強いのか、どのようなタイプの強さなのか、そしてどのような犠牲を払って?ということになるでしょう。
 
    	スピード、アジリティー、クイックネスのトレーニングに関する7つの考え パート1/2
スポーツの結果の大部分は、スピード、アジリティー(敏捷性)、クイックネス(俊敏性)によって決まります。これらの運動能力は「試合を変える要素」であり、講義や文章で扱うにも面白い題材です。そこで、この投稿では、スピード、アジリティー、クイックネスについて、詳細に注目してみたいと思います。 1. シューズは重要である スピード、アジリティー、クイックネスのトレーニングについて議論する際は、まず始めにシューズから考える必要があります。なぜなら、シューズは、あなたが地面に対して、どのように力を発揮したり、抑えたりしているかに直接的に影響するからです。 重いスニーカーでは、自分を速く「感じる」のが難しいでしょう。 かかとをかなり持ち上げたシューズを履いているのなら、動きのトレーニングをする際、ポステリアチェーンを効率的に動員するようにしましょう。 最後に、おそらくこれが最も大切かもしれませんが、外側に十分なサポートがないスニーカーでは、方向変換に苦労するでしょう。これは、市場に出回っている、足に対するサポートが最小限のスニーカーに伴う非常に大きな問題となっています。アスリートは、エクササイズを完璧に行うために十分な神経筋コントロール能力を持っているのにもかかわらず、方向変換の際に足をひねってしまいます。この点から、私は、ニューバランスの最新のミニマス(最小限のサポートのみ備えた靴)のデザイン会議に参加できてとてもよかったと思っています。 最先端のトレーニングプログラムや細かい指導テクニックを気にする前に、適切なシューズを履いているかどうかを確認してください。 2. 個人差を軽視しない 動きのトレーニングをする際に、全てのアスリートが同じような指導方法を必要としていると考えるのは間違いです。アスリートはそれぞれ異なる身体を持っており、頭の中で考えている「理想的な」ポジションからは、僅かにズレているのです。当然のことながら、四肢や胴体の長さも関係ありますが、関節の構造も影響しているでしょう。たとえば、骨の形や、関節包の変化、大腿骨頭の後傾などにより、股関節の内旋が不十分な人は、よりつま先を外側に向けたアスレチックスタンスから始める必要があるかもしれません。 何が「普通」であるかを理解することは大切ですが、「普通ではない」ことは必ずしも不適切というわけではありません。 3. 速い人を強くする方が、強い人を速くするより簡単である これは何年も前に聞いた文章なので、正直なところ、これをどこから聞いたのかは覚えていません。でもそのときに、この文章がいかに真実を語っていることか、気付けていたらよかったと思っています! 多くのアスリートは、もともと反射能力に恵まれています。たとえ、「充分な筋力」がなくても、伸張−収縮サイクルをとても上手に使って、素晴らしい運動動作を発揮します。こういったアスリートは、単純に、強化すればさらに成長します。 その反対に、筋力は豊富にあるのに、その力を瞬時に発揮することができないアスリートがいます。こういったアスリートは、筋力強化や維持よりも、スピードトレーニングに、より多くの時間を費やす必要があります。 上記であげた二つのケースを比べると、一つ目の速いアスリートを強くする方が、強いアスリートを速くするよりも、断然早く成果を出すことができます。これには、多くの要因が関わっていますが、結局のところ、リラックスすることを教えるのが難しいというのが一番の要因だと考えています。 最初から速いアスリートは、「偶然に」不必要な筋緊張をしない方法を知っているように感じます。一方で、最初から強いアスリートは、何をするにも、とにかく力でねじ伏せようとします。証拠が欲しければ、私(またはパワーリフターならだれでも)がゴルフする姿を見てください! 4. 成長の過程では、動きの質が低下するが、その低下は適切なトレーニングにより抑えることができる 子供が思春期に入り、成長期が始まると、競技場、氷上、コート上で、動きが全くコントロールできていないアスリートを見るのも珍しいことではありません。筋肉や腱の成長をはるかにしのぐスピードで、骨が成長し、瞬く間に可動域の制限が生まれるといった理由のほかに、重心が支持面からより高い位置に移動し、不安定な環境を作り出していることを考慮する必要があるでしょう。 12歳から15歳くらいの間に起こる、この劇的な変化こそ幼少期にトップレベルだった子供が、高校や大学でもトップレベルになれるわけではない理由です。リトルリーグのオールスターになったからといって、メジャーリーグのオールスターになれると予測できるわけではありません。 良いお知らせもあります。効果的なトレーニング原則を用いることによって、成長期に起こる、運動能力の低下を食い止める、または最小限に抑えることができます。当然ですが、複数のスポーツを行い、様々な動きを伴う運動を行うことは重要です。さらに、モビリティーのトレーニングを取り入れ、適切な動きの質について指導することもできます。最後に、軽視してはいけないのが、ストレングストレーニングです。10~15パウンド(4.5~7kg)の筋肉量を若いアスリートの下半身につけることができれば、重心は支持基底面に近くなり、より安定した環境を作り出せます。もちろん、こういったトレーニングにより得た筋力は、動きの質の改善という観点でも多いに役立ちます。だからこそ私は、11歳から12歳の間は、たとえ週に1、2分だとしても初期レベルのストレングストレーニングプログラムを始めるのに適切な時期だと考えています。
 
    	スピード、アジリティー、クイックネスのトレーニングに関する7つの考え パート2/2
5. よりよく動くには、スピードと同様に、「読み」が大事である. 新進の野球の選手たちの多くと話すと、彼らは「60ヤード(約55m)走のタイム」を気にしているようです。6.5秒以下で走ることができれば、エリートレベルのスピードだと考えられるでしょう。6.6‐6.7秒の間は優秀、6.8‐6.9秒の間は平均、そして7.0秒以上は平均以下と考えられます。こういった数字は、高校のイベントなどでのランキングで、定期的に計測されていますが、高校以降のレベルではあまり行われていません。 そのため、メジャーリーグでは、選手がどのくらい「速い」のかを表す、はっきりとした指標がないのです。正直に言って、メジャーリーガーたちの60ヤード走を計測すれば、かなり残念な結果になるでしょう。野手では、6.8‐7.1秒を出す選手が多くいて、6.7秒以下の選手は、各チームのロースターにせいぜい2、3人でしょう。試合の結果に影響するようなスピードを持つ選手は、考えられているよりも少なく、ビリー・ハミルトンやジャコビー・エルスベリーのように、ベースの走り方や、良いジャンプの仕方、野球というゲームを知ることによって、ベースランナーとして有能になった選手がたくさんいます。 ベースランニングは、運動競技的努力であるとともに、芸術ですから、スピード、アジリティー、クイックネスのドリルをいくら沢山行ったとしても、試合を知り、状況を適切に読んで、それに応じて動くことを理解していなければ、望むような効果を得ることは難しいでしょう。これは、陸上競技以外の全てのスポーツに当てはまることだと思います。 6. 良質な動きのトレーニングプログラムには、コーチングと競争のミックスが必要 速くなりたければ、指導重視のトレーニングと競争要素の入ったトレーニングの両方を行う必要があると思います。指導という観点では、より質の高い動きを教えなければいけません。そうでなければ、ただ間違ったパターンを更に植え付けることになります。これは、調整が狂っている車を、できるだけ速く運転しようとしているようなものです。 一方で、何も言わず、ただアスリートを速く走らせ、互いに競争させることにも意味があると思っています。短距離走のトップ選手たちの多くは、個人ではなく、グループでトレーニングを行います。同じことが、NFLコンバインの準備にも言えます。選手たちは、互いに刺激し合うことで、良くなるのです。時間を計測したり、ミラードリルを行うことは、トレーニングの中で競争心を掻き立てる方法としてとても有効です。 理想的には、動きのトレーニングセッション全てにおいて、競争要素も指導を与える時間も少しずつ取り入れることが大事です。私の施設に通うプロ選手の典型的な一週間では、スピード、アジリティー、クイックネスにより重点をおいたトレーニングをする日は、水曜と土曜と決まっています。水曜日は、指導よりも競争に重点を置き、選手たちは一緒に短距離走を行います。土曜日は、指導面に重点を置き、室内で30ヤード(約27m)、またはそれ以下の距離での練習を行います。動画をたくさん撮り、ほとんどの場合は、一回に一人ずつしか走らせません。シーズンが近づいてくると、指導重視のセッションを月曜日のストレングストレーニングの前にも取り入れるようにしています。 7. 動画は試合を変えた 動画−より具体的には、スローモーション動画−は、動きのトレーニング指導の仕方を劇的に変えました。胴体の傾きや、脛のポジションなど、適切な角度の指導に多くの時間を費やすことができ、動画を止めて、その瞬間、瞬間にどういったポジションを取っているかを見せることで、アスリートは、これまでよりも格段に早く、新しいスキルを習得したり、磨き上げたりすることができるようになりました。もしまだスピード、アジリティー、クイックネスのドリルを動画撮影したことがないのでしたら、ぜひこれから始めてください! 一つだけ注意点として、動画がセッションの「流れ」を妨げることがないようにしてください。注意していないと、セットの間ごとに5−10分間、ビデオを見て、話しあうことになってしまいます。動画をリソースとして使うことは大切ですが、動画に頼りすぎて、トレーニングの質を妨げないよう注意しましょう。
 
    	パワーポジション
競技のなかで「構える」ことをどのように捉えているでしょうか。またスポーツを始めた時にパフォーマンスを発揮しやすい構えをきちんと教わったでしょうか。アクションを起こす前の構えはパワーポジション(他にもアスレティックポジション、ベースポジションetc.)と呼ばれています。今回はこのパワーポジションについて再考していきます。 「動き出しを速くしたい。」このような相談をアスリートから受けることは少なく無いと思います。多くの球技では1回当たりの移動距離はそれほどでもありませんが、この動き出しの良し悪しはパフォーマンスを左右する要因となります。前述のような課題がある場合、もちろん反応の速さ、状況判断なども関係していますが私の場合は実際に選手に構えのポジションをとってもらい確認するようにしています。そもそも適切なパワーポジションを教わっていないために自分の構えがどうなっているか考える機会がなったというケースが多々有ります。 バスケットボール選手のラテラルスライドからのカッティング動作において、速い股関節伸展動作が爆発的な動作にとってより重要であることと、COM(質量中心)を低く保つことが重要であると示されています(1)。これらの条件を満たす構えはまさしくパワーポジションではないでしょうか。 爆発的な股関節伸展を行うには股関節が屈曲している必要があり、COMを低くするには下肢関節を屈曲しておく必要があります。素早い動き出し、無駄のないカッティング動作を習得するにはまず適切なパワーポジションから力を発揮できることが役に立ちます。 私は特に側方スピード、多方向スピードなどのムーブメントスキル導入の際には導入として必ずこのパワーポジションのとり方を実習するようにしています。細かいポイントを図の中に記しています。 パワーポジションをとった時の足底部のインサイドエッジ(母趾、母趾球、内側アーチ前方にかかるエリア)荷重は非常に重要です。そこで導入の段階で意識づけとして下記のようなキューイングをよく使います。 ・「かかとの下には紙一枚分のスペースを。」 ・「シューズの前半分、インサイドに体重をのせよう。」 ・「地面を左右に引き裂くような感じで踏ん張って。」 ・「(両足の間にシワがよっている)絨毯のシワを伸ばすような感じで踏ん張って。」 母趾球に体重をのせるという表現や膝を絞るという表現をされることもあります。どちらもパワーポジションに導くためのキューイングとしては効果的ではないと感じています。膝を絞ると言うとKnee-Inを誘発することになります。Knee-In状態となってしまうと股関節を爆発的に伸展することは困難です。 膝を絞るのではなく僅かに(本当に少しだけ)股関節を内旋させインサイドエッジ荷重を意識することによって結果的に母趾球にも体重がのった状態となります。そして殿部と大腿部の筋がほぼ均等に力を発揮していることを感じ取れるはずです。 ミニバンドを利用してヒップアクティベーションを行う時、ムーブメントスキルを行う時などトレーニング中にも頻繁にパワーポジションをとる機会があります。前述のような荷重の意識を持つだけでも新たな気付きが得られるかもしれません。どれくらいの関節角度が良いのか、足部のどこに荷重すると動きやすいのかというベースを身につけておけば応用ができます。 また、図では両足が横並びのスタンスでベーシックな形をとっています。これをベースとして競技、ポジションに応じて足を少し前後にずらしたスタッガードスタンスをとることができます。静止した状態から前方への推進力を得るには、重心を支持基底面より前に置かなければならないため、このスタッガードスタンスは小さくステップバックして前方へ動き出しやすくするfalse stepと同様に動き出しの速いポジションだと考えられます。 参考文献 1. Shimokochi Y, Ide D, Kokubu M, Nakaoji T. Relationships among performance of lateral cutting maneuver from lateral sliding and hip extension and abduction motions, ground reaction force, and body center of mass height. J Strength Cond Res 2013; 27: 1851–1860.
 
    	アスレティックスピードを向上させる6つの驚くべきエクササイズ
エクササイズ#1 メディスンボールサイドスロープログレッション: A. 立位でのサイドスロー:アスリートはアスレティックスタンスでボールを胸の高さで持ち、肘を外に開き、壁に対して横向きに立ちます。(ボールの機み具合によりますが、大体10-12フィート(3-3.6m)離れて立ちます) 後ろ側の脚を使って股関節を前方へ押し出し、前側の脚を壁に向って小さくステップします。 爆発的にボールを壁に向って押し出しますが、後ろの肘を上方に保持することで肩に傷害を起こさないようにします。 このエクササイズの焦点は、投げること自体ではなく、側方シャッフルのように後ろ脚を前方に押し出すために最良なスタンスを理解することにあります。 アスリートのスタンスが狭すぎる、あるいは、高く立ちすぎてしまうと、パワーの産出に制限がかかってしまうでしょう。 このエクササイズは両サイド行う必要があります。 B. 正方向シャッフルサイドスロー:アスリートは壁からさらに約6-8フィート( 1.8m ~2.4m )離れます。このエクササイズは立位サイドスローと同じことを行いますが、強調することは側方へのスピードに変わります: アスリートは良いスタンスを保ちながら、1、2回シャッフルし、そして、後ろ足を前方へ押し出し、そのスピードをスロー(投げる動作)に伝達します。 アスリートは後ろ足を使って下方、後方に押すことで、スロー(投げる動作)により早いスピードを産み出さなければなりません。 アスリートが良いアスレチックスタンス(基盤)をもっていなければ、効果を得るために十分な力を産み出せないでしょう。 C. 逆方向シャッフルサイドスロー:同様のエクササイズですが、ここではアスリートは壁から離れるように逆方向にシャッフルします。壁から6-8フィート( 1.8m ~2.4m )だけ離れた場所からスタートしてください。 アスリートは壁から離れるように1-2回アグレッシブにシャッフルし、ボールを投げるために強く足を踏み込みます。 これはアスレティックスタンスと踏み込み脚の角度の重要性を強調させるために、すべてのエクササイズのなかで最も重要になります。 止まろうとする時に、踏み込み脚である後ろ脚の幅が狭すぎると、投げる力は弱くなるでしょう。 アスリートは投げる時も、まだ前方へ動いていたいのです。それぞれのサイドで3-5回を2-4セット行わせます。このエクササイズは高強度で行わなければなりません。ボールの重さ、アスリートの経験値、スキルレベルによって、セット数と回数を決定します。 これはサイドメディスンボールスローの静止状態からのバリエーションです。正方向・逆方向シャッフルスローはどちらも、アスリートはこのポジションに戻ってくることになります。逆方向スローは減速角度を教えるためにとても重要になります。踏み込みが上手に行われなければ、スローに現れます。素晴らしいフィードバックドリルです。 エクササイズ#2 片腕片脚チューブロウ 加速・減速(アスレティックスピードにおいて、最も素早いアスリートがそれ以外のアスリートよりも優れて行えるもの)の両方にフォーカスしているため、これはとても優れたスピードエクササイズです a. 最初のポジションは、アスリートに片脚をスクワット/曲げた状態にさせ、チューブが引っ張る強さに抵抗させます。減速に必要な筋肉群が働きます。 b. それからアスリートは素早く立ち上がり、膝を上方に引き上げながらチューブを引っ張ります。これは加速する筋肉群を動員します。 c. このエクササイズのプラスの利点は、バランスと安定性のトレーニングになるということです。 私たちは通常それぞれのサイドで5-8回を2-4セット行わせます。ゆっくりとスクワット/膝を曲げさせ、爆発的に伸ばします。 エクササイズ#3 リアクティブシャッフルとクロスオーバー この写真では、アスリートはコーチが示す方向へ素早く反応し、シャッフルかクロスオーバーをする準備をしています。これはアスリートにスキルを向上させるためとコーチが優れたフィードバックを利用するための実際のセッティングです。 a. アスリートは体重をかけたアスレティックスタンスに入り、シャッフル、または、クロスオーバーの準備をして(コーチがすでにどちらにするか決定しています)、コーチの指示したポイントに反応します。 b. このタイプのエクササイズは、アスリートが無作為に反応しなければならないため、アスレティックスピードを向上させるためには優れています。アスリートは彼、または彼女の生まれ持った能力を使うことになります。間違えても、コーチが簡単に修正し、回数を重ねることでアスリートによりよいパターンを再獲得させることができます。 通常は3-5回を2-3セット行わせます。アスリートができる限り素早く反応してコーンまでいき、もとの位置に帰ってくるまでを1回とします。スピードを追求しているため、しっかりと休息させ、完全に疲弊させないようにします。 エクササイズ#4 抵抗をかけたパワースキップ 私はスピードの向上のために抵抗をかけたパワースキップを好みますが、それは力の産出と股関節の伸展を増大することができるからです。 a. アスリートはチューブに抵抗しながら進むためにかなり強く押し出し、かつ加速のための良い姿勢を保持することを身につけなければなりません。 b. アスリートはこのエクササイズで腕と脚の協調動作を学ぶでしょう。最初は簡単ではありません。 c. このエクササイズのもっとも大きな利点は、パワースキップを試みるときに、より多くの筋繊維を動員することになることです。これが加速スピードをより産み出すための目的なのです。 20mを3-6回行わせます。十分な質のプッシュオフを得るためにはこの距離で十分であり、あまり距離が長すぎると疲れ過ぎてしまい、メカニクスを変えてしまいます。 エクササイズ#5 純粋な加速スタート 様々なスタートから加速のメカニクスと効率を向上させるためには、これらのことを練習しなければなりません。 a. 私は倒れながらのスタート、起き上がり、ボックススタート、平行スタンスからのスタート、それ以外にも数多くのバリエーションを使うでしょう。そうすることで、アスリートに適切なテクニックを指導することができます。 b. 目的は加速時の姿勢と共に、手と脚の動きが一貫しているということです。 c. アスリートがフォームを崩すようであれば、すぐにフォーム修正に取り組むことができます。 私は2-3つの異なったスタンスで、それぞれ3-4回行わせることを好みます。フォームを正しく教えるために充分な時間があります。 エクササイズ#6 カッティングスキル カッティングスキルを教えることは、アスリートにアスレティックスピードの効率を向上させるとても優れた方法です。ほとんどのコート、フィールドスポーツでは、方向転換という点において多くのことを要求するので、それを取り扱うことは重要です。 a. カッティングについてアスリートに理解してほしい最初のことは、それがが反応的性質であるということです。切り返しについて考える時間は十分にありません。自然に起こる動きを行い、ミスが起きれば、それを修正することです。 b. アスリートは、身体の幅の外側にある切り返した脚を再方向転換することで次の切り返しをすることを学ばなければなりません。素早い切り返しでなければならず、それほど鋭い切り返しでないのであれば、私はアスリートが故意に股関節を下に落としてほしくありません。 c. 切り返しが鋭ければ、アスリートは一度元の姿勢に戻り、そして、重心をコントロールするのに十分なだけ股関節をやや下げなくてはならないでしょう。 d. カッティングの鍵は、オフェンスのプレーヤであれば距離を作ることであり、ディフェンスのプレーヤーであれば、ギャップを埋めることになります。ボディーポジションと足の位置が良ければ、より良い結果が得られます。 2-3つの異なったカッティングバリエーションを3-6回行わせるのを好んでいます: a. スピードカット b. シャープカット c. リハーサルカット d. ランダムカット e. ジャンプストップカット f. スピンカット g. もっと・・・ Yours in Speed, Lee Taft
 
    	カッティングのコーチングポイント&チェックポイント
アスリートのカッティング動作、つまり素早い方向転換の動作をコーチングする際に注目すべきポイントとは?SAQスペシャリストのリーが、3つの注目ポイントをシェアします。
 
    	後退と方向転換
後退または後方への加速 後退または後方への加速は、主に試合中の守備的な局面でおこります。守備的なポジションを維持したり、プレーに戻ったりするためには、アスリートは前方への勢い、もしくは静止した姿勢を素早く制御し、後方への加速につなげなければなりません。 後方への加速に関連するスキルを紹介します。 バックペダル(後方走り)-バックペダルは通常、走り出す、または方向転換を行う前に次に起こることを把握するために行います。バックペダルはスピードのある動作ではないので、オフェンスの選手がディフェンスをかわす際に使われるものではありません。 ヒップターンの発展型-ヒップターンは股関節と足を素早く回旋させることによって行われ、そのため、新しい方向へ身体を加速させるための積極的なプッシュオフができます。プライオステップと似ています。 ヒップターンからシャッフル-このスキルでは、アスリートは素早く股関節と足を回旋させてプッシュオフし、シャッフルを任意の方向へ3~5ヤード行います。 ヒップターンからクロスオーバー-同様にアスリートは股関節と足を回旋させて開き、どの角度へも積極的なクロスオーバーの動作ができるようにします。 ヒップターンからラン-アスリートはターンするために股関節と足を回旋させ、より速い速度で走ります。 連続ヒップターン-これは、後退するときに相手のオフェンスのプレーヤーを目の前にとらえておくために使用するスキルです。アスリートは、距離を保つためにシャッフルを2歩行うごとにヒップターンを行います。 **このドリルの組み合わせは多数あり、例として合図でターンしてからスプリント、ストップからスプリントバック、ストップから斜めへのスプリント等があります。 後退や後方への加速を行う場合、バランスを維持するため、そしていつでもストップして前方へ動くことができるように、肩が前方に位置していることが最も重要です。肩が高くなった時、アスリートはかかとに重心をかける傾向にあり、これはどの方向へ加速するのにも適していません。 多方向へのスピードにおいて見落としがちな要素の一つが、減速や方向転換、カッティングに関連するスキルです。 コートやフィールド上でアスリートが素早くなるための要素の一つが、対戦相手よりも方向転換を速く行う能力です。2人のアスリートが同時にストップした時、一方が新たな方向へより早く動き出せるのが「ゲームを支配できる能力」です。 下記は方向転換やカッティングに関連するいくつかのドリルです: 減速、カッティング及び方向転換 素早く減速し再加速できる能力を持つアスリートは、通常、多方向へのスピードに関しても最も速いでしょう。直線のスピードがあることは素晴らしいことですが、もしもそれをコントローできなければ効果的ではありません。 多くのACLや足首、そのほかの傷害は、ランからの減速時や、横や斜め方向の動作からの方向転換の際、またはジャンプからの着地時に起こります。関節からの力を分散させるためには、足、下肢及び上半身の適切なポジションを取ることができるということが非常に重要です。 アスリートが習得できる減速のためのドリルの発展型を紹介します: 直線的なランニングまたは横方向への動作からの減速: ランジストップ-アスリートに前方に5から10ヤード走らせ、ラインに近づくにつれ徐々に小刻みに足をつきます。片足を前にし、膝を90度に曲げたランジの姿勢へとゆっくりと(身体を)下げていきます。頭と肩はわずかに前傾させ、背中を丸めないようにします。逆側の手で前側の脚の近くの地面を触ります。アスリートが自身をコントロールできているかを確かめるために、この姿勢を2~3秒保ちます。 リバースランジストップ-アスリートは5ヤードバックペダルし、リバースランジの姿勢を取り、最終的にランジストップと同じポジションでストップします。前側の膝は90度に、後ろ脚も90度近く屈曲させましょう。良い姿勢を保ちながら逆側の手で地面を触りましょう。 アングルストップ(ホッケーストップ)-ランジストップと同様の距離ですが、今回は、アスリートは前方に走った後、素早く股関節と前足を回旋させ、足を横方向に向けながらストップします。この姿勢はより安全で競技に適した止まり方です。足を回旋させることで、地面へ力を加えるための面積が増えます。足首を捻るのを防ぎ、またプッシュオフする必要があるときに伸張反射を使えるように、足首を背屈する(つま先を上げる)必要があります。踏込み脚の膝にねじる力が加わらないように、股関節を回旋させなければなりません。 ラテラルストップ-上記のシャッフルドリルのように、アスリートは5ヤードシャッフルして決められた場所でストップします。踏込み脚の角度は、た勢いを止めるのに十分なように重心の外側になるようにしますが、外すぎて足が滑らないようにします。 スプリットストップ-この減速の動作は両方の足を同時に接地する時に起こります。一般に、進行方向が定かではないが減速の準備をしなければならない場合に使われます。 これらのストップ動作はどの進行方向に対しても使用できます。重要なことは、適切な足と下肢のポジションを用いて反対方向へ力を発揮することです。勢いでアスリート自身が減速またはストップする方向へ引きずられないように、肩はコントロールされてなければなりません。 カッティングの原則を紹介します: アスリートがカッティング動作を行う時は、仕掛けに対する反応する時か、仕掛けそのものである時のどちらかです。ディフェンスのプレーヤーは、常にオフェンスのプレーヤーの仕掛けに対して反応します。ディフェンスの場合、カッティングは本質的にランダムで反応的でなくてはなりません。 オフェンスのプレーヤーは相手を欺くためにカッティングを仕掛けます。彼らはより(自身の行動を)コントロールできます。時に、ディフェンダーに止められることを防ぐために、オフェンスのプレーヤーがカッティングを行わなければならいこともあります。 カッティングの様々な種類として: スピードカット-サッカー選手がスピードを保つ必要がありながら細かい方向転換を行う時などに、カッティングは45度以下の角度で行われます。脚を身体の外側に素早く踏み込み、股関節の沈み込みは最低限にして行います。アスリートは、姿勢と速度をあまり変化せず方向転換を行います。 シャープカット-シャープカットは、45度以上の角度で行われます。アスリートは、カットする方向へまっすぐ進むためにより減速する必要があります。より深い角度と速いスピードで行うために、股関節をより深く沈めなければなりません。鋭いカッティングを行い、(進行方向に)角度に保つためには、足をより小刻みに動かす必要があります。 ジャンプカット-この動作は、アスリートが両足を地面から離し、同時に着地することによって行います。カッティングする方向は着地時に決定し、進行方向と反対側の足を、進行方向へ加速するために身体より広く押し出します。 インサイドフットカット-スピードが遅く、またカッティング時の力が小さいため、あまり一般的ではありませんが、迅速に内側の足を使わなければならない場合に起こります。インサイドフットカットはスピードカットの動作中に起こることが多いです。勢いを殺してアスリートの進行方向を変えるために、内側の足が反対側に向かって、かなり身体の下へ接地されます。プッシュオフが内側の足によって起こりますが、外側の足は、素早く身体の方向を変え、カッティング動作後は身体を加速させるためにクロスオーバーのポジションをとります。 方向転換: 方向転換とは、基本的にカッティングと減速の頂点です。 アスリートが方向転換をするときは、プレーに付いていく、または先行するために可能な限り効率的に行われなければなりません。 沈み込みを最低限にして、適切な(方向転換の)角度を作ることで方向転換のスピードを確保できます。
 
    	側方歩行システム(ラテラル ゲイト システム)
私は、競技スピードや複数方向へのスピードについて、“ナチュラリスト”のアプローチに基づき多くの記事を書いてきました。 私は、我々のアスリートから学ぶ、という考え方を強い信じています。これが意味することは見る、聞く、そして学ぶというコーチングアプローチを適応させていく、ということです。 この記事では、私が側方歩行システム(ラテラル ゲイト システム)と呼ぶシステムについて学ぶことになりますが、この記事の前提は、指導するアスリートを見て学ぶことによって、より良いコーチになることを奨励するということです。 あなたは、彼らの言語化された、そして非言語のフィードバックも取り入れ、計画を立てることを学ぶ必要があります。 指導するアスリートに、何をするべきかを理解させる為に必要なコーチングを完了した後に、観察というプロセスが始まるということを理解しておいてください。 結果として、彼らがどのようにパフォーマンスをするかを見ることができます。もし彼らがスキルで苦戦しているのであれば、それはスキルをどのように遂行するかを理解していないのか、もしくは単に運動プログラムが発達するまで練習をする必要があるのかを見分ける必要があります。これがコーチングの腕の見せ所なのです。 側方歩行システム(ラテラル ゲイト システム) 側方歩行システムとは基本的にラテラル シャッフル時に起こる足部と脚部の動きのことです。これは前額面での循環動作です。 競技スピードの側面の多くのように、側方メカニズムは、身体が最も効率的に動くかということよりも、私達が、こうあるべきであると考えることのために誤解されてしまっています。 バスケットボール選手がオフェンスの選手を守る為に横方向に動き、オフェンスの選手のスピードが、ディフェンスの選手がシャッフルできる程度に遅い時(もしスピードが速すぎると、ディフェンスはクロスオーバーという別のスキルを使用します)、ある運動生理学的有利性が働くのを確認できます。 スタートブロックから飛び出したスプリンターのように、最終的には速いスプリントスピードに到達します。シャッフルを行っているバスケットボールの選手はより速く動く為に地面に向って力を生産するよう、継続的に脚を使わなければいけません。 ここにあるいくつかの力学的なポジションは、ほとんどのコーチが指導するものとは正反対になりますが、身体の本能的調整と利点において100パーセント自然なものです。 選手が右にシャッフルをしている時、左脚はパワーレッグとなり、身体を押し出します。 接地直前に足部は背屈し、強く踏み込まれ、身体を右に押し出す為に踏み出されます。足部が地面から離れ、脚部が伸展するやいなや、足部は臀部(股関節)の下に引き戻され、再び踏み込み、押し出す準備をします。もし左脚(押し出す脚)の足指を宙に描くとしたら、それは横に倒れた卵形をしています。 リードする脚は、この場合では右脚ですが、動きのスピードに関して能動的に参加することになります。この前額面でのシャッフルの動きにおいて、ハムストリングは内転筋よりも、より強く働くために、つま先は外に開き、踵は下に引っ張って引き戻す為に使われます。リードする脚は、決して臀部の下で交差することはなく、短い距離において引き込むのみです。足が臀部の下にくる直前になるとすぐに、引き上げられ、“更に地面を掴む為に”循環されます。この引く動作が効果的となるのは、リードする脚が引くと同時に、後ろ側の脚が質量中心/臀部をリードする脚の上に押し出すというタイミングで働くからです。もしもリードする脚が、単独で引かなければならないとすれば、動きは遅くなり、効率的ではありません。 足が臀部(股関節)の下方に接近する時があります。これは正常なことで、脚にその役割を完遂して欲しいのであれば、起こるべきことなのです。そうでなければ、押す動作と引く動作が完了しないために力は減少してしまいます。 もしディフェンダーが素早く止まらなければならないなら、リードしている足は、ほんの一瞬で方向を変え背屈することになります。これにより足首は背屈し、減速時に身体の重みを吸収する為の準備ができるのです。足首が背屈する必要があるもう一つの理由は、方向転換をする際、新たな方向への加速を始める為に即座のプッシュオフが必要となるからです。もし足が外に向いていたら(底屈)、力強いプッシュオフを作り出す下半身のストレッチ反射がなくなります。 これらは側方歩行システム(ラテラル ゲイト システム)の際に注意しておくべき、ほんのいくつかのキーポイントになります。他にも注意しておくべきキーポイントはこちらです: 骨盤を同じ高さに揃えておく。 肩が回旋し、横に振れないようにする。 背中はまっすぐに、丸まらないようにする。 動きの良き観察者であることは重要です。そうすることで、アスリートが繰り返し同じ間違いを起こしている時にシンプルな修正を加えることができます。アスリートが適切なポジションにいなければ、通常、より遅く、非効率的な動きとなります。 プライオステップとヒップターン(腰の回旋)のコンセプトについて、かなり頻繁に議論をしたことがあります。これらは、より伝導力のある加速角度を見つける必要がある際に、身体が請け負う2つの先天的な能力です。 プライオステップは足部の再編成であり、アスリートはアスレチックスタンスやポジションから素早く飛び出し、更なるクイックネスを提供する効率的な加速ポジションに移行することができます。 ヒップターン(腰の回旋)は同じコンセプトになりますが、アスリートが後退するとき、または後ろ向きに進む時に行われます。ヒップターンの時、足部は腰が回旋すると同時に力強く床に踏み込まれます。 この腰の回旋により脚部と足部は適切なプッシュオフの角度となり、アスリートが身体を開き、後退することができるようになるのです。 戦略として、逃げるため、攻撃するため、もしくはあらゆる方向でスピードを作り出す為の非常に爆発的な素早い動きにおいて、身体は非常に効率的である、という要点を強調する為に、プライオステップとヒップターンについて言及しました。私達はコーチとして、身体が示していることをもとにして、より良い仕事をしていく必要があります。 宿題 次回、バスケットボールの試合や横方向に動くアスリート達を見る際に、いくつかの点に注意してください。もし選手達が母指球に乗っているのであれば、彼らは可能な限りのパワーを生み出すことができません。彼らの足が素早く動いているように見えたとしても、それは彼らができる限り速く動いていることにはならないのです。 これからさらに このトピックに関しては、近い将来更に書いていくつもりです。なぜ身体がある特定のことを行うのかを、評価する時間を作ることができれば、動きをより良く理解することができます。 もしも身体が効率的でないことを行っているとしたら、通常、そのアスリートが身につけてしまった悪い習慣や姿勢の問題を持っているからです。そういう時に、教え、問題をその場で解決することが、私達の仕事なのです。私にとっての楽しみは、ここからスタートします。
 
    	シャッフルプログレッション
ディフェンスの選手たちが必要とするシャッフルを、より効果的に向上させるためのプログレッションをリー・タフトがご紹介します。広いスペースがなくても実践することが可能なドリルを、是非お試しください。